占い師の独白シリーズ「霊眼が開く時」
「小説家になろう」に投稿している私の小説を皆さんに紹介させていただきます。
私が四柱推命占いに関わりながら、実際に体験したお話です。
「霊眼が開く時」
事故がきっかけで霊が視えるようになった男性の話である。
《霊眼が開く》という言葉がある。霊能者の方たちは、だいたい幼いときから霊眼が開かれていて霊が視えるのだが、何かのきっかけで今まで視えなかったものが視えるようになった人の話を聞いたりする。
私の教室に来られていた五〇代の男性の話である。彼は、ある事故で奇跡的に助かった人なのだが、それまでは視えなかったものが急に視えるようになったと言うのだ。
事故後、ある日彼が街を歩いていると、母親と少女がコンビニの自動ドアの前に立っているのが見えた。中に入らないのかなと思って見ていると、他の人たちが二人の身体を通り抜けていくのである。
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彼女たちは亡くなった霊だったというわけだ。
それまで霊など視たことなかったのに、急に視えるようになってしまって本当に驚いたそうだ。
そう考えると、もしかしたら私たちも、知らず知らずのうちに何人もの霊の身体を通り抜けているのかも知れない。
もしかしたら、タクシーの座席に霊が座っているのに、知らずにその上から腰かけているなんてこともあったのかもと考えると、怖くなってこないだろうか?
遠い昔、山手線の電車で席に座っていたときのことである。ある女性がぶつぶつ独り言を話しながら入ってきたことがあった。
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「いつまで憑(と)りついてんだ、このやろう!」
大きな声で怒鳴っていたのだ。周りにはたくさんの人が乗っていたのだが、たしかに独り言だった。私は怖くなって、どんな顔をしているのか見たいと思いながらも下を向いていた。
幸いにも、次の駅で降りてくれたのだが、きっと彼女はいつまでも憑りついて離れない霊に業を煮やしていたんだと思う。
事故で視えるようになった男性にはまだ続きがあった。彼はその事故のあと、《視えないものが視えるようになった》だけでなく、不思議な力を身につけたそうなのだ。
「友人の病気を治したんです」
あるとき、彼の友人が腎臓だったか胆嚢だったかに石ができたらしく、入院したので見舞いに行ったときのこと。彼は、その友人の腹の中の石がなくなるように念じながら、腹に手を当てていたそうだ。
すると、再検査の結果、その石が何故かなくなっていたそうだ。偶然だったのか、彼の不思議な力によるものなのか、それ以降はそういう力を使っていないのだとか。
私の解釈としては、彼の力によって友人の自然治癒力が増大し、その結果石を消滅させたのではないかと勝手に考えている。
霊を見たとか、霊が入ったとか、そういう話はよく聞かされるのだが、一度もそういう場面に遭遇したことがないので、いつかは体験したいと思っているからだ。
子どもが小さいころ、誰かと話しながら遊んでいたりする場面を何度か見たが、そのときにそばに霊がいて、一緒に遊んでいたのかも知れない。
《純粋な心の持ち主》にしか見えないのかなあ。あるいは、修業すれば視えるようになるのかなあ。
そう思いながら、いつか霊眼が開ける日を心待ちにするのだった。
【出典:https://ncode.syosetu.com/n4078ev/】
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