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心霊鑑定士 加賀美零美 1「第12話 志保と零美の関係」

投稿日:2019年12月15日 更新日:

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第12話 志保と零美の関係」

「小説家になろう」に投稿している私の小説を皆さんに紹介させていただきます。
【あらすじ】
 心霊鑑定士の加賀美零美(かがみれみ)は、四柱推命と霊視を駆使して悩める人々の相談に乗っている。恋愛の悩み、仕事や人間関係の悩みなど、人それぞれ様々な悩みを抱えている。
 霊感の強い彼女は、死んだ人の姿を視(み)ることができ、会話もすることができるため、時には死んだ人が訪ねてくることもある。
 相談者の心に寄り添いたいと願う彼女だったが、零美自身の心も悲しみで溢れていた。果たして彼女は、相談者の心を癒し、自分自身も癒すことが出来るのだろうか。
(これは、前作「心霊鑑定士 加賀美零美のよろずお悩み解決所 1」の各話を改稿したものです)

第12話 志保と零美の関係

 駅から歩いてしばらく行くと見えてくる、閑静な住宅街の中に和彦の実家がある。父は高校の校長を務めていたが、早くに他界。それでも、先祖が残した多くの不動産のお陰で、母と二人でも不自由のない暮らしをしてきた。

 母の志保は現在六十歳になるが、この大きな屋敷に一人で住んでいる。心霊研究家として、テレビや雑誌等で紹介されたこともある有名人だ。心霊関係の本もいくつか書いており、和彦が物書きを仕事に選んだのは母の影響が大きい。

 全国の霊障に悩む人たちが、志保を頼って相談に訪れる。そんな多忙な母に迷惑をかけないように、和彦は出来るだけ実家には来ないようにしている。しかし、母が零美を心配して「連れてきなさい」と言われた時だけは帰ってくるのだ。

 どの家も広い敷地なのだが、加賀美家はさらに広かった。庭師によって整えられた庭を通り、色とりどりの花で彩られた花壇を過ぎると、重厚な玄関扉が出迎える。その横にある割と新しいインターホンを押してドアを開き、「母さん、ただいま!」と声をかけた。

 おそらく奥にいるのだろう。何の応答もない。零美が「ただいま帰りました。お義母さん!」と大きな声で呼びかけた。それからしばらくして、パタパタとスリッパを鳴らしながら走ってくる、志保の姿が見えた。

「ごめんごめん、ちょうどお料理していたものだから、手が離せなくて。零美ちゃん、和彦、お帰り。外は暑かったでしょう」

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冷房の効いた家の中にいるのに額に汗を滲ませているのは、走ってきたせいなのか。

 それともふくよかな体格のせいだろうか。二十歳のころから体重が変わらずに痩せている和彦は、つい大柄な人を見ると余計なことを考えてしまう。そんな自分を反省しながら「今日は忙しいの? スケジュールは大丈夫?」と尋ねた。

「今日は他のスケジュールは入れてないの。あなたたちが来るからと思ってね。だから大丈夫、ゆっくりしていきなさい」
「お気遣いありがとうございます、お義母さん」

 零美にとっては義理の母であると同時に、辛かった自分を助けてくれた恩人でもある。子どもの頃からの付き合いであり、母を亡くして以来は実の母のように慕ってきた。忙しい合間を縫って会える日が、零美にとってはかけがえのない時間になるのだ。

 外観に比べ、内装は現代風である。数年前にリフォームした時にキッチンにも工夫が施され、料理が好きな志保が使いやすいように設計されている。中央には大きなダイニングテーブルがあり、その上にはたくさんの料理が並べられていた。

「今日は魚屋さんからね、活きの良い鯛を勧められたのよ。鯛づくしになったけど。さあ、食べましょ。お腹が空いているでしょ? いっぱい食べて」
「ありがとうございます。いただきます、お義母さん」
「母さんの料理は、見ているだけでよだれが出てきちゃうよ。見た目の色合いにもこだわるからね」

 和彦の料理好きは母の影響が大きい。零美も志保から料理を教えてもらっており、一通りは作れる。しかし、比較的時間に余裕のある和彦が作る事が多い。

 みんなが食べ終わって、志保はコーヒー豆を挽き始めた。和彦は両親がアルコールを飲まなかったからか、自然とアルコールから縁遠い人間になる。零美も飲まないため、三人の共通的趣味はコーヒーになった。母の影響で、和彦も自分で豆を挽いて飲むようになった。零美がコーヒー好きになったのは当然の成り行きだと言えよう。

「零美ちゃん大丈夫? だいぶ疲れているようだけど」

 志保はそう言って、コーヒーを注いだカップを零美の前に置いた。零美は苦笑いをして頷く。ちょっと見ただけで、全てを見透かしてしまう志保。さすがとしか言いようがない。実の娘のように心配してくれる志保に、母のような愛情を感じた。

「零美の状態を感じとったから、母さんは電話してくれたの?」

小さい頃から母を見てきた和彦は、その能力を知ってはいる。

 でも、離れていても察知できるのは凄いと改めて思った。また一方では、どうやって伝わるのかその謎を知りたいという好奇心もあった。

「誰でもわかるわけじゃないけど、普段から気にかけている人の変化はわかるかもね」

 志保はコーヒーカップを両手で挟み、立ち上る湯気を見ながら言った。

「和彦には言ったよね。和彦が生まれる一年前に、三歳で亡くなった姉がいることを。零美ちゃんがその子と重なって、本当の娘みたいに思えてくるのよ……」

 当然ながら、和彦は姉を知らない。名前が真理子と言うこと以外、両親から詳しい話を聞いたことがない。母も零美も、幼い娘を亡くしている。二人に共通点が多いことを改めて感じた。

「お義母さん。実は私も、お義母さんが本当の母のように感じるんです。両親を早くに亡くし、祖父母の家で育てられました。祖父母は私を大切に育ててくれましたが、二人とももう亡くなりました。兄弟もいない私には、和彦さんとお義母さんだけが身内なんです。それに、小さい頃から霊現象で悩んできた私を救ってくれたのもお義母さんです。だから……私にとってお義母さんは、本当の母親以上に……」

 言葉が続かなくなった零美の肩を、志保は優しく抱きよせる。その様子が、本当の母娘のように和彦には思えた。

「じゃあ。零美ちゃん、こちらにいらっしゃい」

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零美を和室の部屋に誘導すると、八畳ほどの広さの畳に敷布団が敷いてあった。

「さあ、ここに仰向けになって」

 言われるまま、零美は布団の上に仰向けになる。志保は零美の頭側に座り、彼女の頭に右手を当てて静かに目を瞑った。そのまま動かない志保を、和彦はじっと観察する。

 志保は無言で、零美の頭に手を添える。まったく安心しきった様子の零美は、しばらくするとスースーと寝息を立て始めた。和彦には、とても穏やかで温かな時間に感じられた。およそ四十分が過ぎて、志保は零美を起こした。

「零美ちゃん、終わったわ。もう起きても良いわよ」

 その言葉で目を覚まし、零美はゆっくりと上体を起こした。和彦が「気分は?」と聞くと、零美は優しく微笑んだ。

「ありがとうございました。すっかり体が楽になりました」
「来た時に比べると、顔色が随分良くなったわ。さあ、コーヒーでも飲んで一息入れましょう」

 コーヒーを飲む志保に、和彦は質問をした。

「今回は、いつもより時間が長かった気がするけど……」

 お気に入りのお菓子を口に入れ、コーヒーを少し飲んだ後、志保は質問に答えた。

「きっと、恨みの強い霊と接触したんじゃないかしら。随分と傷ついていたもの」

 和彦はいろいろと思いを巡らせ、母の言葉に納得する。自分にはわからないが、わかる人にはわかるのだ。

「でも、零美ちゃんも随分と強くなったと思う。いろんな人と触れ合い、その人生に共感して傷つくことも多いけど、それがあなたの魂を成長させている。霊になった人との関わり合いも、以前よりうまく出来るようになったみたいだもの」
「ありがとうございます。お義母さんのお陰です。もしお義母さんに出会っていなかったら、私は今頃どうなっていたことか……。それに、和彦さんが側に居てくれるから、とても心強いです」

 零美の言葉に、和彦は顔を赤らめた。そして、母と零美が関わっている世界の大変さを改めて感じ、少しでも力になりたいと思った。

【出典:https://ncode.syosetu.com/n0235fd/12/】

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第1話 別れたくても別れられない女」

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心霊鑑定士 加賀美零美 1「第3話 登校拒否の娘を何とかしたい」

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心霊鑑定士 加賀美零美 1「第18話 母になるために」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第19話 告白されてわかったこと」

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心霊鑑定士 加賀美零美 1「第22話 人はイメージで変わる」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第23話 孤独になりたい」

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心霊鑑定士 加賀美零美 1「第25話 課長への片想い」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第26話 夢に出る母の想い」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第27話 誰にも言えない恋」

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心霊鑑定士 加賀美零美 1「第31話 プロポーズしてくれない理由」

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