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心霊鑑定士 加賀美零美 1「第19話 告白されてわかったこと」

投稿日:2019年12月16日 更新日:

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第19話 告白されてわかったこと」

「小説家になろう」に投稿している私の小説を皆さんに紹介させていただきます。
【あらすじ】
 心霊鑑定士の加賀美零美(かがみれみ)は、四柱推命と霊視を駆使して悩める人々の相談に乗っている。恋愛の悩み、仕事や人間関係の悩みなど、人それぞれ様々な悩みを抱えている。
 霊感の強い彼女は、死んだ人の姿を視(み)ることができ、会話もすることができるため、時には死んだ人が訪ねてくることもある。
 相談者の心に寄り添いたいと願う彼女だったが、零美自身の心も悲しみで溢れていた。果たして彼女は、相談者の心を癒し、自分自身も癒すことが出来るのだろうか。
(これは、前作「心霊鑑定士 加賀美零美のよろずお悩み解決所 1」の各話を改稿したものです)

第19話 告白されてわかったこと

 朝靄の中、三井美奈子が東京駅丸の内南口の改札を出て歩いていると、後ろから女性に声をかけられた。

「よ! モテ期到来女!」
「えっ?」

 美奈子が振り返ると、五つ上の先輩で仲の良い飯星君子が笑っている。朝からハイテンションの君子。彼女にとって、人の噂は大好物なのだ。

「誰から聞いたんですか?」
「そりゃあ、私の情報網を駆使すれば簡単よ」

 自分はもう既婚者だからか、人の恋愛にちょっかい出したがる君子。美奈子が最近、同僚の男性社員二人から立て続けに告白されたという情報を掴んでいる。さすが、社内恋愛のことなら飯星に聞けと言われているだけあると美奈子は感心した。

「で、どっちにすんのよ?」
「どっちって……。先輩はどっちが良いと思います?」
「私は西川くんかな。ちょっとジャニーズっぽくない?」
「まあ、顔はそうですけど。モテるから、すぐ浮気しそうですよね……」
「猪俣くんは、どうも頼りなさそうだし」
「それは確かに、そう見えますね」
「あのさ、ここ行ってみたら?」

 君子が見せたのは、零美の店のホームページだった。

「心霊鑑定士?」
「私もさ、気になってんの。美奈子ちゃん、行ってきてよ。それで後で話聞かせてね」
「あっ、はい……」

 立ち止まった美奈子と君子を、古く大きなビルに吸い込まれていく人たちが抜いていく。住所と電話番号をメモした美奈子は、君子と共に始業が迫ったビルに駆け込んだ。

 昼休みに予約を入れておいた美奈子は、終業を知らせる壁時計を確認し、素早く会社を飛び出して零美の店に向かった。早くどちらかに決めないといけない。断るなら早い方が良い。どっちが私に合っているんだろう。いろいろ考えているうちに店に着いた。

 優しい人だと良いなと思いながら「こんばんは」と声をかけると、出てきた零美が「三井美奈子さんですか? どうぞこちらへ」と笑顔で応対してくれたので、優しそうな雰囲気が嬉しかった。

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ホットコーヒーのカップをテーブルに置いた零美は、美奈子に聞いた。

「三井さんは、どんな事が気になりますか?」
「あの、実は最近、二人の男性から告白されたんです。それで、どちらが私に合っているかなあと思いまして」

 美奈子は、自分と西川光則と猪俣仁の名前と生年月日を紙に書き、零美に手渡した。それをパソコンに入力して命式を出した零美は、プリントアウトしてテーブルに並べた。

「まずあなたは、目に見えるものを大切にする方ですね。今現在の人間関係が上手くいっているのかどうか、周りの人が自分の事をどう思っているかを常に気にされます。和を乱す事が嫌いで、そういうタイプの人は許せないと思います」
「そうですね。親の影響でしょうか、世間体を気にします。あと、会社内での評価も」
「あなたはとても女性的な方で、外見も可愛らしいのですが内面も乙女チックです。男性としては守ってあげたくなるタイプですね」
「周りの人からはよく、ぶりっ子してるって言われるんですけど。自分ではそんな事ないつもりですが……」
「確かに、計算してやる人もいますし。あなたの場合は地でやっているわけで。長く付き合うとわかってもらえると思いますが」
「自分でも、自分の気持ちをうまく表現できなくて。誤解されやすいです」

 零美と話していても、どれほど自分の気持ちが伝わっているか気になる。でも、全てをお見通しのような気もする。そのせいか、美奈子の気持ちが少し楽になっている。

「今度は男性お二人、西川さんと猪俣さんですが。西川さんはかなりの自信家です。自分が正しいと常に思っていますし、基本的に運が強くて能力も高いです。初めての事でも簡単に出来てしまい、そのため周りの人を見下す傾向にあります。

 猪俣さんはと言うと、感受性が強くて傷つきやすいです。芸術家肌、あるいは文学的、学者肌です。傷つきやすい分だけ、傷ついている人に共感できる優しい人ですね。

 リーダータイプで出世が見込めるのは西川さんですが、人の意見を聞かなかったり強引だったりして、敵を作りやすいとも言えます。

 猪俣さんの方は、出世には興味がなく、目に見える実績や地位などより、目に見えない精神的な喜びを求めるタイプです。タイプ的には正反対の二人ですが、三井さんはどちらの男性がお好きですか?」

 突然質問された美奈子は、少し戸惑いを感じた。

「……そうですねえ。顔で言えば西川さん。彼を好きな女子社員は多いです。センスが良くて、スタイリッシュです。でもモテるから、浮気が心配です。

猪俣さんは、顔は普通です。

 真面目で優しい人で、あまりおしゃべりではありません。でも、一言一言に重みがあって、深みがあります。人の悪口は絶対に言わないです。人が嫌がる事を率先してやってくれるし、尊敬しています。

 でも、将来の出世や経済的な事を考えたら、西川さんが良いって事ですよね……」

 美奈子は、上目遣いに零美を見る。

「確かに西川さんは運が強いので、自力で道を切り開く事が出来ます。一方、猪俣さんはと言うと、どんな人が奥さんになるかで変わるタイプです。実は三井さんは、猪俣さんの持っている才能を活かす事が出来ます。

 三井さんが財運と社会運を持っていますから、猪俣さんの足りない点を補ってあげ、長所を活かしてあげられる、良きパートナーになれます。そして猪俣さんも、三井さんの足りないものを持っています。

 内面を観ると、女性の三井さんが男性的、男性の猪俣さんが女性的です。でも、そういう組み合わせの夫婦は、世の中にたくさんいます。

 西川さんと三井さんの組み合わせを考えると、両方強いためにぶつかり合って反発します。三井さん自身、そういう自覚があるのではないでしょうか?」

 美奈子は再び、上目遣いに零美を見る。

「確かに自分でも、男っぽいと言うか負けん気が強いと言うか……」
「だから普通の男性は、三井さんに告白しづらいんです」
「あらら、そうなんですね」
「『私はそんなに安い女じゃない』と」
「私ってプライドが高いんですね。ふふふ」
「このお二人が告白した動機を考えてみます。西川さんは、あなたの事を幸せにしたいというより、あなたを連れて歩けば自分が自慢出来ると思っているからです。あなたのように可愛い女の子を連れて歩くのは、自分の自尊心を満足させるためなのです。

 猪俣さんはと言いますと、すごく直感的な人なので、理由はそんなにないんです。ただ、あなたには自分が必要で、自分にはあなたが必要だ、そう感じたんです。あなたがきっと、無理して生きているように思えたんでしょうね、彼には」
「そうなんですか……」

 今まで隠していたことを突かれた。痛い所を突かれた。美奈子はそう思った。

「三井さんは、いつも自分を押し殺していらっしゃる、私もそう感じます」
「はあ……」

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思わず出る溜息。見透かされている。

 美奈子は、着ている服を一枚一枚脱がされるような気持ちになる。

「周りに合わせて自分を主張しないあなたは、感情を押し殺しています。笑顔の裏に隠されたあなたの心の叫び、彼はそれを敏感に感じているんです。

 だから、あなたの事を『可哀想だな』『その感情を吐き出せてあげたいな』と思っています。彼はそう言う事が出来る人なんです」

 そんな風に見られていたなんて、美奈子は気づきもしなかった。そんな人がこんな身近にいたなんて、想像も出来なかった。

「三井さん、あなたとお父さんの関係はいかがですか?」
「父ですか……。父は、怒りっぽくて口が悪いし、おまけに自己中心的で好きじゃないです。母はよく我慢出来るなと思います」
「それですね……。それが、あなたが男性を寄せつけない理由なんです」

 下を向いていた美奈子。両目が少し潤んでいる。

「三井さん、最近泣いていますか?」
「えっ? えーっと……」

 美奈子は驚いて、顔を上げて零美を見る。

「自分の素を出さないように、感情を出さないように、表面的には笑顔でニコニコしています。でも、心の中では土砂降りですね」
「ううっ……」
「もう辛くて辛くて、心がパンクしそうですね」

 顔を上げたままの美奈子。彼女の両頬に涙が伝う。感情を出すまいとして、唇を噛む。

「私は、猪俣さんがあなたに合っていると思います。この人は、あなたの感情を吐き出せてくれる。もっと自由に生きて良いよと言ってくれる人です。そしてあなたなら、彼の持っている才能を発揮させてあげられる、きっとお似合いのカップルになるはずです」

 美奈子は耐え切れず、カバンからハンカチを取り出した。とめどなく流れる涙。少し嗚咽しながら、その涙を拭っていた。零美は彼女の横に座る。そして、美奈子が落ち着くまで、ずっと肩を抱いた。静まり返った店内。ただ、時計の音だけが響いていた。

【出典:https://ncode.syosetu.com/n0235fd/19/】

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第1話 別れたくても別れられない女」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第2話 胸に秘めた水風船」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第3話 登校拒否の娘を何とかしたい」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第4話 懐かしい母の温もり」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第5話 不倫女の心の痛み」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第6話 彼女が別れを切り出した理由とは」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第7話 相性の悪い相談者」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第8話 血だらけの訪問者」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第9話 水は何色にも染まる」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第10話 次期院長の嫁取り問題」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第11話 憑りつく霊たちの事情」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第12話 志保と零美の関係」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第13話 老後のための熟年婚活」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第14話 次期社長の嫁取り問題」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第15話 父母代わりの人に愛されるということ」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第16話 息子に降りかかった災難」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第17話 真面目な彼が好き」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第18話 母になるために」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第20話 不倫で授かった命」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第21話 占いは自分を好きになるためのもの」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第22話 人はイメージで変わる」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第23話 孤独になりたい」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第24話 子どもを連れた再婚」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第25話 課長への片想い」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第26話 夢に出る母の想い」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第27話 誰にも言えない恋」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第28話 彼女が本当にやりたい事」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第29話 帰ってきてくれるだけで良い」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第30話 女優のすすめ」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第31話 プロポーズしてくれない理由」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第32話 訪ねてきた懐かしい同級生」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第33話 彼女が運が悪いと思う理由」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第34話 驚きの転身」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第35話 三つ目のコーヒーカップ」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第36話 逆らえない上司」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第37話 息苦しくて生きづらい」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第38話 夫に帰ってきてほしい」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第39話 漫画家になりたい」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第40話 どっちが良いの」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第41話 離れていても親子」」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第42話 父親からの縁談」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第43話 もしかして運命の人かも」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第44話 結婚式の前日に」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第45話 自分で自分を誉める」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第46話 信じる自由と信じない自由」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第47話 結婚詐欺はビジネス」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第48話 母親は顧客」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第49話 産みの親に会うという事」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第50話 丑の刻参り」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第51話 彼の告白を待つ」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第52話 過去が思い出せない」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第53話 別れさせるのが仕事」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第54話 息子に店を継がせたい」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第55話 選ばれない人生」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第56話 交通事故で助かった理由」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第57話 鏡が嫌いになった理由」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第58話 彼が死ななかった理由」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第59話 男女が付き合うという事」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第60話 未来を予言する」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第61話 彼女がコミュ障になった理由」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第62話 鑑定は相談者を産みかえる作業」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第63話 亡き夫の願い」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第64話 夢で殺される理由」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第65話 人気女優と俳優の恋愛」

心霊鑑定士 加賀美零美 1「第66話 会社を辞めて彼がしたい事」

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