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北朝鮮「武闘工作部隊」日本人妻と子供たちが辿った残酷すぎる運命とは!?

投稿日:2017年12月29日 更新日:

前回北朝鮮「スパイ術」で日本の警察をかく乱した主婦の続きです。
工作員の妻となった女性とその子どもたちの運命は…
以下より引用させていただきます。
北朝鮮「武闘工作部隊」日本人妻と子供たちが辿った残酷すぎる運命(竹内 明)

北朝鮮「武闘工作部隊」日本人妻と子供たちが辿った残酷すぎる運命 私が出会った北朝鮮工作員たち 第6回 竹内 明 2017.11.12

アメリカとの言葉の応酬がエスカレートし、戦争の不安も高まる北朝鮮。
しかし、北朝鮮の脅威はすでに、あなたの隣に迫っているかもしれない……。
日本にも数多く潜伏している北朝鮮の工作員たち。
彼らはいったい何者で、どんな生活を送っているのか。
公安警察や元工作員への取材を重ねてきた報道記者・作家で『スリーパー 浸透工作員』の著者でもある竹内明氏が、日本に潜む工作員たちの実像に迫ります。

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日本に展開した武闘組織「ふくろう部隊」

その男は、朝鮮総連傘下の研究機関「朝鮮問題研究所」の研究員だった。
愛想はなく、取っつきにくい男。
これが周囲の者の一致する人物評だ。

男の名は高大基(コ・デギ)。
1973年当時、40代半ば。

朝鮮問題研究所が発行する機関誌『月刊朝鮮資料』に、研究論文を書いたことはない。
巻末の「日記」の部分に軍事問題の短い記事を執筆するだけだった。

同僚たちにとっても謎の人物。
愛媛県宇和島出身で、「予科練上がり」という噂があった。

戦争末期には日本海軍のパイロット養成課程にいて、特攻作戦での死も覚悟していたと囁かれるほど、肝の据わった男だったのだ。
高は軍事の専門家で、事務所では「資料室長」という肩書きで韓国情勢の書籍を管理していたという。職場の同僚はこう語る。

「いつも遅れて出勤する。
不機嫌そうに座っていて、突然出かけて帰ってこない。

在日朝鮮人社会は本国と同じ規律社会なのだが、上司は高に何も言わない。
だから、裏の仕事をやっていることは薄々分かった」

実際、高大基には複数の顔があった。
その一つが武闘組織「ふくろう部隊」の訓練隊長だ。

ふくろう部隊は、当時の朝鮮総連第一議長・金炳植(キム・ビョンシク)が組織化したもので、朝鮮大学校を卒業した総連の専従活動家が構成員だ。
金炳植の護衛や思想弾圧、政敵の追い落とし工作を担当したとされる。

ある在日朝鮮人は「本国にある国家安全保衛省みたいな組織だ」という。
軍直属の工作機関・偵察総局に属する工作員たちも、祖国を裏切ったと判断されれば、国家安全保衛省によって抹殺される。
反逆を許さぬ秘密警察的な組織と言っていい。

「ふくろう部隊」は正式名称ではない。
夜の暗闇に乗じて尾行や襲撃をしていたので、「ふくろう」と恐れられるようになったのだ。

「ふくろう部隊の隊員は、フルコンタクト空手の師範代に格闘技術を教え込まれ、1日8時間の訓練を受けていた。
訓練開始から1年もたつと、体が二回りは大きくなって、ヤクザとトラブルになっても全然怖がらない。

大阪の総連幹部が海岸で変死体で見つかった事件では、ふくろう部隊の犯行だという説があった」(総連関係者)

「高大基は、ふくろう部隊の隊員を再教育するため大菩薩峠に合宿に連れて行ったりしていた。
逆さ吊りにして度胸試しをやったという噂だった」(高大基をよく知る人物)

工作機関のダミー企業が五反田に

のちに分かることだが、謎の男・高大基にはもう一つの顔があった。
東京・五反田の貿易会社社員という肩書きだ。

会社名は「ユニバース・トレイディング」。
1971年に金炳植が設立したこの会社は五反田のTOCビル4階にあった。
登記上の社長は日本人男性だが、この人物は金炳植の友人だった(同社は1978年倒産)。

設立翌年に、金炳植が本国に召還されて失脚。
後継者として会社を仕切っていたのが、高だ。

30人ほどの社員が貴金属の輸出の業務にあたっていたという。
実は、この会社こそ北朝鮮工作機関のフロント企業であり、社員のうち10人が北の工作員だった。

「表向きは貿易業務だったが、目的は在日米軍の情報収集などの秘密工作や資金調達、海外の工作員との連絡だった。
貿易会社は金も稼げるし、海外に出張しても自然だ。
ちょうど良い偽装だった」(公安捜査員)

強面の切れ者で、工作機関のフロント企業を動かす男――。
そんな危険な香りを漂わせる高だったが、一方で彼には当時、日本人の妻がいた。

高は、たびたび北海道に通っていたと、元同僚は語る。

「北海道で自衛隊の人と接触していると聞いたことがありました。
当時は在日朝鮮人で自衛隊と接触できる人などいなかった。
若い頃にかかわりのあった、旧日本軍の関係者との人脈が続いていたのではないでしょうか」

出張を続けていた高が、北海道紋別市のスナックで働いていた渡辺秀子さんと出会ったのは、1961年のことだ。
客として店を訪れた高が、秀子さんに一目惚れして交際が始まったのだという。

高は1927年生まれで、1941年生まれの秀子さんは14歳年下だった。
1967年、高は秀子さんと結婚している。

「当時は民族主義一色で、高のような朝鮮総連の幹部、それも金炳植の側近が、スナック勤務の日本人女性と結婚するなんてあり得ないことだった。
ロシア人女性と結婚して別れさせられた総連幹部もいたくらいです。

だが、高の場合は許されていた。
特殊任務のための隠れ蓑に必要だという名目で特例扱いになったのだと思います」(総連関係者)

結婚後、秀子さんは高が住んでいた埼玉県内に転居。
長女・敬美さんと長男・剛くんをもうけた。

周囲から見ると、秀子さんは子供をよくかわいがる母親。
幸せな家庭に映っていた。
だが高は、職場の朝鮮問題研究所では家族がいることすら語らなかったという。

「高は普段ガードが固く、何も喋らなかったけど、妻の秀子さんには自分が工作員であることを明かしていたそうだ。
工作員は妻にすら自分の任務を明かしてはいけない。
それを話していたと言うことは、秀子さんに本当に惚れていたのだろう」(高をよく知る人物)

しかし高は、1973年に忽然と姿を消す。
本国に召還されたと考えられている。
本当に愛していたからこそ別れを告げられなかったのか、それとも日本の家族など簡単に切り捨てられたのか、今となっては分からない。

いずれにしても、残された秀子さんは愛する夫が消えた理由を知らなかったようだ。
そして、最悪の選択をしてしまう。
高を探し、五反田のユニバース社を訪ねたのだ。

秀子さんと二人の子供は、このユニバース社訪問の直後に行方不明となった。
日本警察が、秀子さん母子失踪の実態解明に動いたのは34年後、2007年になってからだ。

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しとやかな「お嬢さん」が工作員に

秀子さん母子失踪に絡んで、国際手配された人物がいる。
木下陽子(本名・洪寿恵)だ。

陽子は1947年、在日韓国人の父親と日本人の母親の間に生まれた。
韓国籍で、朝鮮総連とは関係を持たずに育った。
琴をたしなみ、成績優秀。
地元の一流高校から青山学院大学に進んだ。

ここで、もう一つの在日組織が登場する。
陽子が参加した学生親睦団体だ。
その団体を「留学同」、在日本朝鮮留学生同盟中央本部という。

1945年に設立された朝鮮総連傘下の団体で、日本の大学、短大に「留学」している「朝鮮同胞」の学生を集めて、団結や交流を深める親睦団体だ。
各大学に朝鮮研究サークルの形で学生を所属させている。
陽子は留学同を通じて、総連から奨学金も受けていた。

「奨学金には(在日韓国人団体の)民団系と総連が共同でやっている朝鮮奨学会と、総連中央の教育会が出す奨学金があった。
それまで総連と縁がなかった木下陽子が、なぜ総連中央のほうの奨学金を受けたのかは分からない。

こうした奨学金を受けて、留学同に入ると、総連の綱領を支持するよう教育され、総連の活動に従事することになる。
北朝鮮の思想について勉強し、民族的に目覚めるようになるのだ」(総連関係者)

ある公安捜査官は私に、この留学同とかかわったことが陽子の人生を変えたという見解を語った。

「朝鮮大学校の学生は、ほとんどが朝鮮籍だから世界をまたにかけた工作活動はやりづらい。
留学同には、両親のどちらかが日本人だという学生が多く、日本籍や韓国籍の学生もいる。

彼らは朝鮮籍の若者と違って、海外での工作活動に使いやすい。
北朝鮮の工作機関にとって、留学同は工作員となる若者をリクルートする絶好の場だと言っていいだろう」(公安捜査員)

陽子は、ユニバース・トレイディングの設立時に役員として入社。
このときには、琴をたしなんでいた、しとやかな優等生だった陽子の姿は、一変していた。

ビジネスの才能を発揮する辣腕。そこまではいい。
だが、同僚たちは彼女を、暴力的で、キレると何をしでかすか分からないと恐れたという。

工作員としての厳しい訓練と思想教育が、人格まで変えていた。
陽子は高大基が本国に召還された後、ユニバース・トレイディングの業務と工作活動を取り仕切っていた。
そこに、夫を探す渡辺秀子さんが現れたのだ。

公安警察の捜査によれば、陽子らが下した決断は、あまりに残酷なものだった。
秀子さんの子供たち、敬美さん(当時6歳)と剛くん(当時3歳)は、1974年6月に北朝鮮に拉致されたと考えられている。
福井県小浜市の海岸から工作船で連れ去られたというのだ。

「当時は、日本に工作船で入ってきた工作員が、在日社会によく入ってきていた。
私の同級生の家にも、本国から来た男が泊まっていたこともあった。

なかには、上陸地点を調査する補助工作員的なことをするヤツもいて、『俺はこんな仕事を請け負った』などと自慢する口の軽いのもいた。
子供二人を工作船で連れ去ることなど簡単だったんです」(ある在日朝鮮人)

秀子さん本人の行方は分かっておらず、木下陽子の命令で殺害され、遺体は海に遺棄されたとみられている。

陽子は1979年5月に日本を出国し、北朝鮮に渡ったとされる。
2007年の捜査で、警視庁公安部外事ニ課、通称「ソトニ」は、留学同の入る朝鮮出版会館などを家宅捜索した。

だが、この時すでに、国内にいる多くの関係者の事項は成立しており、遅きに失した捜査だった。
朝鮮総連側は「総連と拉致事件を結び付ける世論操作である」などとして反発した。

「差別社会」が日本への脅威を生み出す

この事件の関係者の中では、木下陽子だけでなく、子供たちを工作船に乗せて北朝鮮に連れて行った実行役とされる女性工作員(ユニバース社の社員)も短大時代、留学同に所属していた。
父は在日朝鮮人、母は日本人だという。

「ユニバース社に在籍していた工作員十数名のほとんどは、父親が帰化朝鮮人もしくは在日朝鮮人だった。
しかし、彼らは日本人の母親に育てられている。
そこが最大のカギなんだ」(公安捜査員)

カギとは、どういう意味なのか。
日本人の母親に育てられ、日本の学校教育を受けた若者が、留学同に参加してスカウトを受けたからといって、冷酷な北朝鮮工作員になってしまう理由とは、何なのだろうか。
事件の背景をよく知る、ある在日朝鮮人はその理由を私にこう語った。

「原因は差別が作り出す日本社会への憎しみです。
朝鮮民族の男性と結婚しようとした日本人女性は当時、親から勘当されたり、親戚づきあいを絶たれたりして、酷い目に遭った。
子供は親や周囲から自然と、そんな話を聞いて育っている。

彼らが成長し、大学生になって、留学同のサークルで朝鮮の歴史を学ぶと、自分の中の民族性に火が付く。
朝鮮民族のために人生を捧げたいと思うようになる。

差別を受けた者しか分からないが、疎外感を感じた者の反作用は激しいのです。
北朝鮮の工作機関は、若者のそんな使命感を刺激して、利用するのです」

私はこの証言を聞いて、似たような議論を思い出した。
最近のヨーロッパでテロを引き起こしている「ホームグロウン」と呼ばれるテロリストたちが生まれる背景を、現地で取材していたときのことだ。

「ホームグロウン」とは、ISISなどテロ組織が拠点とする中東などから渡航してきた人間ではなく、欧米で生まれ育った若者が、過激思想に感化されてテロリストになることを指す。
フランスやベルギーでは、国内で生まれ育ったイスラム系移民の二世、三世の若者がある日突然、イスラム過激派思想に染まり、シリアなどで訓練を受けてテロを引き起こすようになる。

彼らはたいてい、元は敬虔なイスラム教徒ではない。
酒を飲み、モスクにも通わない、西側文化に染まっていたはずの素行不良の若者だ。
欧州某国の対テロ捜査官は、こう話した。

「人種差別や宗教的な疎外感が、欧米社会や文化への怒りに転嫁されていきます。
彼らは泥棒や強盗といった小さな犯罪を犯し、刑務所という小さな社会に短期間滞在しているうちに、先住者(刑務所内の”先輩”犯罪者)によって過激派思想に洗脳される。
刑務所から出て、シリアに行ってしまうのです。

彼らは『イスラム教徒を弾圧する者と闘う』という英雄心に基づいて行動するようになります。
イスラム教の教義について学んだこともない若者のほうが過激化のスピードが速いのが特徴です」

テロリズムと国家による工作活動を単純に比較するのは妥当ではないかもしれない。
だが、社会の中に巣食う「差別の構造」こそが、テロ組織や工作機関のリクルートを容易にし、敵対活動を広げる大きな原因になっていることは、認識しておかなければならないだろう。
核やミサイル問題によって、北朝鮮情勢が緊迫しているいまだからこそ、私たちはなおさら冷静な目を持つことが大切なのではないだろうか。

[出典:北朝鮮「武闘工作部隊」日本人妻と子供たちが辿った残酷すぎる運命(竹内 明)現代ビジネス(講談社 > http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53477 ]

工作員の家族になってしまったばっかりに、悲惨な運命が待っていたとは…
まさに映画のような話だなと思ってしまいました。

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