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本当は怖い名画ミステリー 2017年7月15日 世界一受けたい授業(中野京子)

投稿日:2017年7月15日 更新日:

描かれたメッセージを暴け! 本当は怖い!世界の名画ミステリー 2017年7月15日 世界一受けたい授業

2017年7月15日放送の「世界一受けたい授業」より

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プリンセス・ソフィアの絵に描かれた《怖いもの》とは!?

険しい表情の女性
17世紀のロシアに実在したプリンセスのソフィア。

 

 

 

 

 

彼女は権力を握るため、母親が違う弟ピョートルを殺害しようとするも失敗に終わり、逆に修道院に閉じ込められました。

奥にいるのはソフィアの付き人。
怯えた眼差しで物陰に潜んでいます。
対してソフィアは堂々と腕を組み、こちらを睨みつけています。
これは、自分を閉じ込めた弟に対する怒りと、
もう権力を握れないだろうという絶望の感情が入り混じった表情なのです。
窓の外に見えるのは、とても恐ろしい光景。
それは男の首吊り死体。
死体の正体は、ソフィアを支持する反乱軍のトップ。
これは、弟ピョートル大帝による「いつかお前もこうしてやる」という、ソフィアに対する脅しのメッセージだと言われています。

教えてくれるのは、著書「怖い絵」シリーズがベストセラー、美術評論家の中野京子先生。

 

 

 

 

 

”描かれたメッセージを暴け! 本当は怖い!世界の名画ミステリー”

「レディ・ジェーン・グレイの処刑」

16世紀のイギリスで実際にあった処刑のシーンが描かれた絵画。
首置き台を手探りしているのがジェーン・グレイで、イギリスの初代女王です。

 

 

 

 

 

10代で政略結婚させられ、結婚相手の父が権力志向だったので、彼女を王座に就けることで自分の権力を手にしようとしました。
そして、もう一人の女王候補を殺そうとしましたが、失敗して捕まり、ジェーンも反逆罪で処刑されました。
ジェーンはこの時16歳でした。

この絵の怖いポイントは、目隠しをしているジェーン・グレイに注目。
髪をまとめています。
髪の毛というのは刃物が滑るので、髪を縛って首を出しています。
また、台の下に藁(わら)が敷いてあるのは、血を吸うためのもの。

続いて、斧を持っている死刑執行人。
腰にナイフを持っています。
これは、一打で成功するとは限らないので、最終的に上手くいかなかった時はナイフを使うこともありました。

当時、処刑される人は、死刑執行人に「ある物」を渡すのが一般的でした。
それは「お金」です。
心づけとして渡しました。
「なるべく苦しまないように、早くやってください」という意味も含まれていました。
今のお金に換算して、約180万円渡した話もあります。
それは、当時のイギリスの労働者の1年分の収入だったと言われています。
斬首(首を斬る刑)は、階級の高い人のための処刑です。
一般の人たちは絞首刑(首を絞める刑)でした。
斬首は絞首よりも苦しくないと思われていたからです。(誰も証明はできませんが)

「イワン雷帝とその息子」

イリヤ・レーピンが描いた「イワン雷帝とその息子」。

 

 

 

 

 

ロシア皇帝である父親のイワンが、頭から血を流す息子を抱きかかえ、ショックで呆然としている様子が描かれています。
実は、息子を殺した犯人は「父親自身」でした。
凶器は、皇帝が普段愛用している杖。
興奮すると、我を忘れてしまうほど短気な性格でした。
これは、我に返った父親が、自分が殺してしまったことを悔やんでいるシーン。

レンブラントが描いた当時のイベントとは!?

光と影の魔術師と言われたレンブラントが描いた絵。

 

 

 

 

 

帽子を被った男性は何を見せているのでしょうか?
正解は「人体解剖」。
位の高い医師が体の仕組みを教えていますが、解剖に使われているのは処刑された犯罪者の遺体。
当時、人体解剖は一般人も見ることのできるイベントとしても行なわれていました。
この作品でレンブラントは一躍有名になりました。

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「〇〇を受け取ってください、旦那さま」

虚ろな目と、半開きの口の女性。

 

 

 

 

 

そんな表情をした女性が、鏡に映る男性に何かを渡そうとしています。
それは「生きている赤ちゃん」です。
タイトルは「あなたの息子を受け取ってください、旦那さま」
この女性は、妻ではなく愛人。
「自分と自分の息子を認めてください」と言っています。
当時は、働く女性が軽蔑されていた時代だったので、養ってもらわないと母子共に亡くなってしまうので、虚ろな顔をしています。

子宮が描かれていますが、途中で描くのが嫌になったのか、その下の方は色付けされていません。
実はこの絵は、未完のまま人々の目に触れることになったのです。
ただ、途中でやめていることが逆に、赤ちゃんがものすごく強調されて、かえって良くなっているのではないかと。

「手」が語る感動ストーリー

ルネサンス期のドイツで活躍したアルブレヒト・デューラーの作品。

 

 

 

 

 

実はこの絵には、今も語り継がれる感動的な話があります。

15世紀のドイツ、後にルネサンス期を代表することになるデューラーと、親友のハンスという青年がいました。
2人の夢は「画家」。
しかし、2人は貧しかったので働いてばかり。
絵の勉強をする時間はありませんでした。

そんなある日、親友のハンスはデューラーに「あること」を提案します。
”このままじゃ、2人とも画家になる夢を捨てなくちゃいけない。でも、僕に良い考えがあるんだ。”
1人ずつ交代で勉強し、1人が働いてもう1人の勉強代を稼いで助けると。
2人は「君から先に勉強してくれ」と譲り合います。
ハンスは、デューラーの方が絵が上手いから、君の絵が認められたら僕と代わってほしいと言います。
デューラーはハンスの意思を受け取り、絵の勉強のためにイタリアへ行きました。

デューラーはハンスのことを思い、寝る間も惜しんでひたすら絵を描き続けました。
一方、ハンスはお金がたくさん稼げる鍛冶屋に就職。
デューラーのために、早朝から深夜まで働いてお金を送りました。

数年後、ようやく画家として認められたデューラー。
「よし、次はハンスの番だ!」
そして2人は再会、手を取り合って喜びました。
ところが、ハンスの手を見てデューラーは驚きます。
ハンスの両手は、長年の力仕事により、ゴツゴツした手に変わり果てていました。
「こんな手じゃ、もう繊細な絵は描けないよ」と笑うハンス。

「君の夢を奪い、僕の夢が叶った…」罪悪感に襲われたデューラーは、後日ハンスに謝るために会いに行きました。
するとそこには、静かに祈りを捧げているハンスがいました。

”デューラーは私のことで傷つき自分を責めています。神様どうか、デューラーがこれ以上苦しむことがありませんように。そして、私が果たせなかった夢も彼が叶えてくれますように”

ハンスは恨むどころか、デューラーのことを一生懸命祈ってくれていたのです。
ハンスの思いを知ったデューラーは…

「お願いだ!君の手を描かせてくれ。君のこの手で僕は生かされているんだ。君のこの手の祈りで僕は生かされているんだ」

こうして、友情と感謝の心がこもった「祈りの手」が生まれたのです。

 

 

 

 

 

画家でも、手を描くのは一番難しいですが、素描画(デッサン)がものすごくうまいです。

デューラーは美術の教科書にも載っていますし、今なおドイツでは最大の画家と言われています。

本当は怖い名画ミステリー 2017年2月18日 世界一受けたい授業(中野京子)

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