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【感動】ストーブ猫の「ぶさお」が震災後に男の人生を変えた

投稿日:2018年5月16日 更新日:

一匹の野良猫を通して、一人の男性の生き方が変わったという話を紹介します。

ストーブ猫「ぶさお」には虐待の過去 その姿が男の人生を変えた

藤村かおり 2018/02/22

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ストーブの前にちょこんと座り、暖をとる猫「ぶさお」。
SNSで人気になった今の愛らしい、ふくよかな姿からは想像しにくいが、もともとは虐待を受け、保護された野良猫だった。
その猫が、飼い主の人生にも変化をもたらした。

茨城県北茨城市。
雪がちらつく寒い夜、丹竜治さん(42)のお宅にお邪魔すると、ふわっと温かな空気に包まれていた。
居間の真ん中に石油ストーブがあり、そのすぐ前に、とても大きな猫が1匹座っている。

 

 

 

 

 

 

 
[出典:https://www.instagram.com/p/BiVYFhhAVAA/?taken-by=tanryug]

「こいつが『ぶさお』です。推定9歳というところかな」

手招きされて、猫のそばに寄ってみた。突然の来客に動じることもなく、「ぶさお」はストーブにあたっている。

「7年くらい前からインスタをしていますが“ストーブにあたる猫”“可愛いけど、よくみると変な顔だ”とか、じわじわ注目されて。
今年に入って海外のメディアからも連絡が来ました。
顔がスターウォーズのヨーダに似ているので“フォースとともに”と紹介されて」

SNSでファンになった人が、家まで会いに来ることもあるという。

「むふーっとした笑った感じに癒されるんだと思います。
でもね、こいつも結構ひどい体験をしてきたんです……」

◆ケガをして現れた猫

野良猫だった「ぶさお」が丹家の前に現れたのは2009年ごろ。
その頃、家には飼い猫が数匹いたが、「ぶさお」は家に入ってきて、飼い猫たちの餌を食べていた。
食べ終えると、さっとまた外に出て、体を触らせようとはしなかったとう。

「立派な泥棒猫だったよな(笑)。
顔だけでなく声もよくないので、俺も親父も、あれはぶさいくな『ぶさお』だな、と意見が一致。
当時から顔がでかかった。(猫同士の)抗争が絶えず、耳を噛まれてぶらぶらさせて来たたこともありましたね」

しかしある日、「ぶさお」は明らかに人間のイタズラと思える傷を作って、家の近くにやって来た。
身体に赤いスプレーが吹き付けられ、裂傷もあった。

「見るに見かねて『来いよ』と言ったら、血だらけでふらふらになりながら、家に入って、僕の膝に乗ったんです。
野良猫が膝に乗るなんて、経験がなくて、驚いて。
『よし、居候としておいてあげる』と思った。
そこから真剣な付き合いが始まりました。
こいつの命の責任を俺が持とうと」

「ぶさお」が一命をとり留めた後、今度は丹さんの身にいろいろなことが起きた。
2010年、父親が急死。
2011年2月に妻と離婚。
その1カ月後に東日本大震災が起きて、家が半壊……。

「大きな事が次々に起きて、人生について考えなければいけないタイミングに『ぶさお』がいてくれた。
人間では癒せない部分を彼が癒してくれて、その無垢な愛が深かったんです」

◆「自分のすべきこと」

その癒しのおかげで、落ち込む間もなく“自分のすべきこと”が見えたという。

自分も被災者だったが、「放っておけない」と宮城県に車で物資を運んだ。
そもそも丹さんは技術者として働く一方、以前からボランティア活動をしてきた。
震災後には、その気持ちがますます強まった。

「力を入れてきたボランティアにゴミ拾いがあります。
たとえば、(16年前から)霞ヶ浦等の湖沼で『釣り人の力で水辺を綺麗にする』という活動をしています。
実はそうしたボランティアも、『ぶさお』が陰で支えてくれているんです」

6年前に「ぶさお」の写真(通称ぶさマイド)を販売、その売上の一部を水辺基盤協会(ゴミ拾い団体)に寄付して支えた。
3年前からはぶさおのカレンダーを作り、その一部を同団体に寄付するほか、去年、ペットの幸せを考える啓発ボランティア団体「PLUSわんにゃんProject」を作り、そちらにも寄付している。
「ぶさお」が丹さんのボランティアの顔となり、活動を広めてもいるわけだ。

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「ペットのためのボランティア団体は、仲間と始めたものです。
きっかけは2年前に秋田犬を飼ったこと。
“僕に合う”と人から紹介されたんですが、僕の中では柴犬も秋田犬も違いがなかった。
でも実際に迎えたら、生後4か月なのに16キロくらいあって!」

同居する母の多仁子さんも散歩できるようにと、しつけの先生を頼もうと思って探すうちに、トリマーさんやドッグダンスの先生らとの出会いにつながったという。

犬好きな店長のいるバーに仲間で集い、「しつけ難しいよね」「でも“待て”ができればいろいろな所に行ける」など話し合ううちに、組織として考えていくようになった。

「昨年10月には1000人規模のイベントを開きました。
今年秋もイベントを予定しています。
たとえば、僕のように犬について知らない人はまだ多くいる。
そのピラミッドの底辺を広げることで、保護犬や保護猫を受け入れる窓口も広がると思っているんです。
もっと伝えたいんです、犬や猫との付き合い方や魅力をね」

◆「生きたい」という意志

熱く、丁寧に話をしてくれる丹さんを「ぶさお」がじーっと見ている。

つい「どことなく似ていますね」というと、丹さんが笑った。

「散々ぶさいくといいながら(笑)。
でもね、僕と『ぶさお』は意味があって出会った。
あの時、傷ついた『ぶさお』から感じたのは、“生きたい”という意志だった。
人にいじめられたのに人を好きでいてくれることが、この猫のすごいところでもあるし、僕に自信を与えてくれた」

“あったかい、あったかい”。
ストーブに当たる「ぶさお」の姿は、何度見ても幸せそうだ。

藤村かおり (ふじむら・かおり)
ペットライター。
小説等の創作活動を経て90年代後半から、ペットの取材を手掛ける。
2011年~2017年週刊朝日記者、2017年からsippoメインライター。
丹念な取材と独自の目線から、動物と人の絆、動物と共に生きる人の心をすくい取る記事に定評がある。
ペット関連の著書に『長寿猫』『明日にアクセス』など。
現在は保護した黒猫、キジ猫と暮らす。

[出典:ストーブ猫「ぶさお」には虐待の過去 その姿が男の人生を変えた(sippo(シッポ) > https://sippo.asahi.com/article/10563873 ]

丹さんも「ぶさお」も、出会えて本当に良かったと思います。
丹さんでなかったら「ぶさお」も幸せになれなかったし、「ぶさお」がいなかったら丹さんも乗り越えられなかったのかも。
やっぱり、出会うこと自体が奇跡なんだと思います。

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