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暴力についての考察(夫と息子からの「言葉の暴力」で壊れてしまった女性)

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夫と息子からの「言葉の暴力」で壊れてしまった女性の記事を読みました。
DVというと身体に加えられる暴力が思い浮びますが、言葉による暴力の問題も計り知れないものだと感じました。
以下から引用させていただきます。
「言葉の暴力」夫と息子から罵られ続け壊れた女

「言葉の暴力」夫と息子から罵られ続け壊れた女 12/5(火) 17:00配信

ノンフィクション作家の石井光太さんが、「ワケあり」の母親たちを密着取材していく本連載。
彼女たちが「我が子を育てられない」事情とは? 
* 石井光太さん記事バックナンバーはこちら http://gendai.ismedia.jp/list/author/kotaishi

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家庭内におけるDVは、カラダの暴力だけにかぎったことではない。
DVと呼ばれる加害行為の中には、「身体的暴力」のほか、「精神的暴力(言葉の暴力など)」「社会的暴力(嫉妬による行動規制など)」「経済的暴力(生活費を渡さないなど)」「性的暴力(夫による強制的な性行為など)」等がある。

こうした中で多いのが、「精神的暴力」だ。
配偶者からの絶え間ない言葉の暴力によって精神的に追い詰められていくのである。

今回取り上げたいのは、こうした言葉の暴力が夫婦という横の関係だけでなく、親子という縦の関係をも破壊し、育児困難家庭が生れる仕組みである。

3時間も4時間も罵り続ける

山塚秀則と亜優美(共に仮名)は、もともと同じ財団法人で働いていた。
秀則は正社員として、亜優美は契約社員として勤務いていたところ、同じ部署になって言葉を交わすようになったのである。

亜優美は短大を出た後、非正規雇用の仕事を転々としていた。
昔から女性との関係がうまくいかず、学校でいじめられることも多く、社会人になってからも数ヵ月おきに職場の人間関係をこじらせて転職を余儀なくされていた。

この財団法人に転職してきた時も、女性の先輩たちとの関係がうまくいかなくなっていた。
そんな時に手を差し伸べてくれたのが秀則だった。
有名大学を卒業し、たった4歳しかちがわないのにリーダーとして30代、40代の人たちをも取り仕切っている。
そんな秀則が頼もしく、いつの間にか1人の男性として見るようになっていたのである。

男女の関係になってから結婚までは早かった。
転職して3ヵ月目に付き合いだし、半年も経たないうちに結婚の話になった。
秀則の方から「仕事を辞めて家庭に入ってくれ」と言ったのだ。
亜優美は承諾。会社を辞めた時には、すでにお腹の中に息子が宿っていた。

秀則からの言葉の暴力がはじまったのは、出産後のことだった。
2人は結婚後すぐに同居せず、亜優美が実家で出産をしてから、息子をつれてマンションに移った。
それから少しして秀則が亜優美を罵るようになったのである。

秀則は家事や育児の些細なミスを見つけ出しては、口汚く怒鳴りつけた。
食器の汚れが取れていない、赤ん坊のお尻がかぶれている、ティッシュペーパーが切れている、電気代が高い、衣服の畳み方が雑だ……。
機嫌の悪い時は、3時間も4時間も罵ることがあった。

亜優美は語る。

「最初の頃は私も男性と同棲することを含めて何もかもが初めてだったので、自分も悪いところがたくさんあるのだろうと思っていました。彼は会社でリーダーをしていたこともあって厳しい人でした。だから、無知な私に対していろいろと教えてくれているんだって。それに専業主婦をやらせてもらっている負い目もありました。だから、彼の言葉にできるだけ耳を傾けることにしていたのです」

「叱ってくださってありがとうございます」

秀則の言葉の暴力はどんどん激しくなっていった。
亜優美がシングルマザーの母親に育てられたことから、「シングルマザーの娘だから家事がろくにできないんだろ」と言ったり、かつてうつ病になったのを指摘して「おまえは精神病だ。早く病院行け」などと暴言を吐くようになったのだ。

罵声を浴びせているうちに、亜優美は本当に自分がダメな人間だと思うようになっていった。
ほとんど毎日のように土下座をして謝り、「叱ってくださってありがとうございます」と言わされることもあった。
そんな日々の中で唯一の慰めだったのは、幼い息子の笑顔だった。

亜優美は言う。

「息子は小さいから何もわからず、私を心配してくれました。『ママ、だいじょうぶ? 泣かないでね』なんて慰めてくれた。あの子と接している時だけが幸せな時間でした」

ところが、息子は3、4歳になってから急に母親の肩を持たなくなった。
秀則が息子を洗脳しはじめたのである。
亜優美を叱りつける度に、「お母さんは病気なんだ。だからダメなんだ」とくり返し言った。
このため、息子は本当に母親を病気だと思うようになり、秀則が亜優美を叱るとこう言うようになった。

「そうだ、お母さんが病気だから悪い!」

亜優美は味方を失って孤立してしまった。
家庭という密室の中で、夫ばかりでなく息子からも言葉の暴力を受けて逃げることができなくなった。

彼女は自分を必要以上に責めるようになった。
ストレスから眠ることができなくなり、爪がなくなるくらい指を噛む。
原因不明の発疹にも苦しんだ。

ある日、亜優美は服薬による自殺を試みる。
彼女はまったく記憶がないらしいが、家じゅうの薬を飲んでしまったのだ。
発見したのは、息子の幼稚園のママ友。
救急車が呼ばれて一命を取り留めた。

その後、亜優美は同病院の医師の勧めで、カウンセリングを受けるようになった。
そのカウンセリングの中で、秀則から受けた罵倒の数々がDVだと指摘されたのだ。

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亜優美の言葉である。

「病院でこれまで家庭であったことを話したら、『それはDVですよ。あなたは、DVの犠牲者なんです』って言われたんです。それまではDVっていったら、叩くなど暴力をふるうことだと思っていました。だから、自分がDVされているという発想がなくて、誰にも相談できなかった。でも、病院でDVの中にはいろんな種類があって、理不尽に怒られつづけるのもそうだって教えられて、自分の置かれている状況がわかったんです」

亜優美は病院側の勧めで、秀則と離婚し、息子と2人で生きていくことを決意した。

だが、ここから思いがけないことが起こった。
息子は物心ついた時からずっと「お母さんは病気なんだ」「何でもできない女性なんだ」「きちんとしかりつけるべきなんだ」と父に言われ続けてきたことで、そういう目でしか見ることができなくなっていたのである。

母子だけでの生活がはじまってからも、息子は口汚く母親を罵った。
ご飯が遅れれば、「病気だから遅いんでしょ」と言い、お菓子が用意されていなければ「何にもできてない」などと言う。
秀則の真似をしていたのだろう。

亜優美は息子にそんな言葉を投げかけられる度に、DVのトラウマが蘇った。
そしてストレスから再び眠れなくなったり、爪を噛んだりするようになり、カッと頭に血がのぼった時は息子に手を上げるようになった。

亜優美は言う。

「病気だからとか言われると、動悸が激しくなって、頭がパニックになっちゃうんです。それでとっさに息子の顔を叩いたり、引きずって外に放り出したりしてしまいました。そうしなければ胸の動悸がおさまらなかった」

亜優美の息子に対する暴力は1年近くつづいた。

ある日、小学校の先生が彼の体についているアザを発見。
それがきっかけになり、児童相談所に通報がいき、亜優美には養育能力がないとされ、息子の保護が決まった。

亜優美は秀則と離婚しつつも、その呪縛から逃れることができず、息子を手放すことになったのである。

子供は親の言葉を妄信する

DVの中でも、秀則が亜優美にしたような言葉による「精神的暴力」は、なかなか表に出にくい。
罵倒される側が、「自分が悪い」と思い込んだり、DVの定義自体がわからなかったりするために誰にも相談できないからだ。

さらに問題なのは、精神的暴力は身体的暴力より長期間つづいてしまう傾向にあるため、その間に被害者の精神状態が悪化してしまうことだ。
亜優美の場合は数年だったが、人によっては10年、あるいはそれ以上の期間つづくことがある。
そうなると、別れたとしても精神的なダメージはなかなか回復せず、結果として子供との関係が壊れる要因となることがある。

警察関係者によれば、最近は逆DV、つまり妻から夫に対する精神的暴力が増えている傾向にあるという。
実際に警察に寄せられる被害者からの相談の一割は、男性からなのだ。

「女性は身体的な形で夫にDVをすることはあまりありません。だからこそ、言葉で追い詰める、夫は妻に批判されていると言いにくいので、被害が長期にわたることも多いですね。

このような場合、夫がうつ病など精神疾患になるケースが少なくありません。私の知っている最悪のケースだと、夫が自殺をした後に遺書が出てきて初めてわかったということがありました。それだけ自分で抱えてしまうということなのです」

こうした夫婦間の精神的暴力は、それ自体としても子供に大きな影響を与える。
児童相談所の職員の言葉だ。

「子供は親の言葉を妄信します。お父さんがお母さんのことをこけ下ろしたりすると、それをそのまま信じてしまう。そうなると、その子が周りの友達に同じことをしたり、大人になって同じような精神的暴力を相手に加えることがあります。実際に無意識のうちに親の言葉を真似て周囲を傷つけようとするのは、頻繁に見受けられることなんです」

亜優美と息子は、今どうしているのだろうか。

一時期、児童相談所に引き離されたものの、現在はアパートで二人暮らしをしている。
ただ亜優美の心はまだ回復しておらず、生活保護を受けながら毎日大量の薬を服用している状態だ。

2人の生活はうまくいっているのか。
亜優美に聞くかぎり「そこそこ」という答えが返ってきた。

だが、小学生になった長男に会わせてもらったところ、頭に10円禿げができていたのに加え、十分な治療を受けていないのか、ひどいアトピー性皮膚炎で数カ所から出血をしていた。
さらに30分ほどの間、一度として目を合わせようとしなかった。

私の目には、まだ2人が秀則のトラウマから癒えていないように映った。

 * 石井光太さん記事バックナンバーはこちら http://gendai.ismedia.jp/list/author/kotaishi

[出典:「言葉の暴力」夫と息子から罵られ続け壊れた女(現代ビジネス)(Yahoo!ニュース > https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171205-00053111-gendaibiz-bus_all&p=1 ]

なぜ人は暴力行為に及ぶのかに関する考察

この記事を読んで、なぜ人は暴力をするようになるのかを考えてみました。
人の行動は、自己の欲望を満たすことが動機になっています。

腹が減ったから食べる、眠いから寝る、欲しいものがあるから買う、ストレスが溜まったから発散させる、性的に興奮したから異性と関係を持つ…
ただ、行動する前に、「していいかどうか」を、道徳や社会のルールに照らし合わせてから行動に移しています。

腹が減ったからと言って、お店で清算する前に食べてしまったら窃盗になります。
ストレスがあるからと人を殴ったら暴行になります。

今話題になっている元横綱・日馬富士の暴行は、本人の意識では「弟弟子に対する指導」という感覚でした。
この記事の中の夫も、妻の至らないところを指摘して指導している、という感覚なのかも知れません。

学校でのいじめや職場でのいじめなどは、強い者が弱い者をいじめるという遊び感覚だったり、ストレスのはけ口という場合が多いでしょう。
この場合は、加害者は被害者に対して「悪いことをしているな」という自覚があると思われます。

しかし、相撲界での兄弟子の暴行、部活動においての体罰、夫婦間でのDVは、「教育的指導」という意味合いがあるので、本人には悪いという感覚はないのではないでしょうか。
よく、虐待で子どもを死なせた親が「しつけだった」と言うように…

また、自分の精神を保つために暴行する場合もあります。
強い劣等感を持つ人は、自分より弱い相手を暴力で抑圧することで優越感を持ち、自尊心を保とうとするでしょう。

記事に出てくる息子は、父親のすることを見て育ってきて、母親を罵ることは正しいこと、と刷り込まれてきました。
日馬富士の引退会見で、日馬富士も伊勢ヶ浜親方も、「自分たちが受けてきた教育的指導を行なっただけなのに、どうして引退しなければならないのか」という悔しさを感じていることが伝わってきました。

いずれにせよ、身体的でも言葉でも、暴力による指導は正しくありません。
相手が理解できるまで、根気よくわかりやすい言葉で指導することが大切だと思います。

明石家さんまさんが「腹が立ったことがない」とおっしゃっていました。
自分に自信があって余裕のある人は、どんなことをされても気にならないということですね。

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