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公安に検挙された「官邸のスパイ」の告白

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トム・クルーズの映画のような世界が、日本でも実際に行われている…
あまりピンと来ない話ですが、関心があったので下記に引用させていただきます。
公安に検挙された「官邸のスパイ」が告白する驚愕の疑惑

公安に検挙された「官邸のスパイ」が告白する驚愕の疑惑 12/24(日) 6:00配信

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日本の中枢に属する情報組織・内閣情報調査室の元職員が語る衝撃の告白。
北朝鮮や米国・ロシアの元工作員、公安警察への取材を重ねてきた報道記者・作家で『スリーパー 浸透工作員』の著者でもある竹内明氏が、日本社会の「水面下」で繰り広げられている諜報戦の実像に迫ります。
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ついにやってきた「運命の日」

日本の中枢に属する情報機関、内閣情報調査室。
その元職員である水谷俊夫氏(仮名)は、海外情報の勉強会で紹介されたロシア大使館員たちと付き合ううち、現金を渡されるようになった。

カネには中毒性があった。
やがて彼は、所属する内閣衛星情報センター、通称「ホシ」に送られてくる海外メディアの記事から、当たりさわりのない中国情勢の分析レポートを作成しては、ロシア側に渡すようになっていた。
重要文書ではないとはいえ、内部文書であることに変わりはない。

そんな綱渡りの生活を数年続けたある日、水谷との待ち合わせをロシア大使館員のベラノフがすっぽかした。
水谷はまだ知らなかったが、彼らの動きは警視庁公安部外事一課、「ソトイチ」にマークされていたのだ。

<ここまでの経緯は、こちらに詳述した→現代ビジネス「カネで堕ちた「官邸のスパイ」が公安に追いつめられるまで」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53858>

「その後、ベラノフからは電話で『これからは会食を日曜日にしましょう』と言われたのですが、そのときにおかしいと思うべきでした。ベラノフは、すでに外事一課の動きに気づいていて、日曜日なら尾行が手薄になると判断していたのだと思います。何も知らずに脳天気だったのは私だけでした」

水谷は唇を噛む。
そして運命の日が訪れた。

2007年12月9日、日曜日。
水谷は都内の家を出て、待ち合わせの川崎に向かった。

これまで、ロシア大使館員とは東京都内のレストランを利用していたのだが、この日は初めて多摩川の向こう、神奈川県内の店を指定された。

なぜ、川崎なのだろう――。
水谷は、胸騒ぎを覚えながら電車に揺られた。

ハプニングに見舞われた尾行チーム

この日、ソトイチの尾行チームは、川崎の接触場所を把握していた
前回接触した店での水谷とベラノフの会話を、高性能集音マイクで拾っていたのだろう。

ソトイチでは、対象を同じ捜査員が尾行し続けることはしない。
行動を先読みして、待ち伏せした捜査員が尾行をリレー式に引き継いでいく。

しかしこの日は、ちょっとしたハプニングがあったという。
ソトイチは水谷が、武蔵小杉駅経由のJR南武線で川崎駅に向かうと読んでいたのだが、実際には東急池上線に乗り、JR蒲田駅経由で川崎に行くという想定外のコースをとったのだ。

このため本来、途中で行う予定だったバトンタッチができず、水谷の自宅から尾行を始めた捜査員が、川崎まで追うことになってしまった。

ベラノフとの待ち合わせ場所は、京急川崎駅近くの新しい商業ビル内にあった。
5階レストランフロアにある焼き肉店。平均予算は、一人4000円程度の店だ。

水谷がエスカレーターで5階まで昇り、そこから10メートルほどの場所にある店の入り口に入ろうとしたときだった。
突然、視界に3冊の警察手帳が飛び込んできた。

目の前に立ちはだかる男たち。その中に、見覚えのある顔があった。

「ああ、Sさん……」

顔見知りのSは、以前、内閣情報調査室に出向してきていた元公安警察官だった。
この時点でも、水谷は自分に危機が迫っていることに気づいていなかったという。

「警視庁公安部です。君はここに何をしに来たんだ?」 

先頭の年配の男が言った。

「待ち合わせがあって……」

水谷がこう言うと、男は鼻で笑った。

「彼はここには来ないよ。もう帰国したんだ。話を聞きたいから一緒に来なさい」

「毒を飲んだか!?」と捜査員に取り押さえられ…

身体捜検を受け、カバンを開けられた。
中には、ベラノフに渡そうとしていたものが入っていた。
この日は、いつもの海外ニュースの分析レポートに加えて、内閣情報調査室研究部が有識者から意見聴取をしたときの議事録も持参していた。
当然ながら、公文書扱いのものだ。

持っていた紙袋も開けられた。
こちらは、ベラノフにプレゼントしようと持ってきたインスタントコーヒーのセットだった。
ロシア人たちは何故か、日本のインスタントコーヒーを好んだからだ。

足下がふらつき、卒倒しそうになった。
水谷はこのときの心境を筆者にこう語る。

「頭が真っ白になって、『どういうことになっちゃったんだろうな、信じられないな』と、そういう感じで、それからしばらくの記憶がないんです。エレベーターに乗せられて、1階で降りた瞬間、無数のフラッシュが焚かれました。あの時はマスコミが集まっているのかと思ったのですが、捜査員のカメラだったのです」

気づいたときには、水谷は公安部の捜査車両に乗っていた。
年配の捜査員がこういった。

「公安部外事一課をなめるんじゃない。我々は君を1年間ずっと見ていたんだ。君のことはすべて知っている。全部喋ってもらうからな」

冷たく言い放ったのは、Oという警部補だった。
ウラの一個班を率いるキャップだ。

「私は個人と個人の付き合いをしていました」

水谷は、リモノフが言っていた台詞で抗弁した。すると、

「ふざけるな!」

と、Oに一喝された。

内閣情報調査室で机を並べていたSがこう言った。

「水谷さん。あんたが国を売るような真似をするとは思わなかったよ。俺は残念でならない」

売国奴のような言いぶりに腹が立った。
頭に血が上り、高血圧持ちの水谷は激しい頭痛を覚えた。

ポケットから薬を取り出して、口に運んだ。

「何をするんだ!」

血相を変えた捜査員たちが、水谷の体を押さえた。
毒薬を飲んで自殺すると思ったのだ。
しかし、水谷が飲んだのは血圧の安定剤だった。

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もらったカネは、そんなもんじゃない

水谷は取り調べの最中に、ベラノフがGRU、ロシア軍参謀本部情報総局の諜報員であることを知らされ、愕然とする。

「君はそんなことも知らなかったのか?君が付き合っていたベラノフやドゥボビはロシアのスパイなんだ」

結局、水谷は逮捕を免れた。
だが、その晩、自宅にはソトイチの捜査員20人が捜索に来た。
押収品目録交付書には43点の押収品が列記されている。

身分証明書(内閣官房内閣総務官室発行)
ノート(「西アジア研究」の記載あるもの)
名刺(在日ロシア連邦大使館I.A.リモノフの記載あるもの)
預金通帳 12通
パスポート(日本国発行公用旅券)
パーソナルコンピュータ(富士通製)
……

収賄や国家公務員法違反で書類送検され、懲戒免職となった。
懲戒免職処分の説明書にはこう書かれている。

<被処分者は数年前から現在に至るまで、外国政府機関職員と不適切な交際を続け、明らかになっただけでも8回にわたり、計82万円を収受するとともに、飲食の費用を相手方に払わせていた(中略)公務員倫理に違反するとともに、刑法上の収賄罪を構成する疑いがあり、上司の職務上の命令に違反するなど、内閣官房の官職に対する信用を著しく失墜させる行為である>

だが、受け取ったとされた金額は、捜査側が把握したものに過ぎない。
水谷は筆者にこう告白する。

「帳簿をつけていなかったので、はっきりした金額は言えませんが、現金だけで400万円くらいはもらっています。飲食代、お土産代などをあわせると500万円近くになると思います。
おカネは、もらったらすぐに使っていました。飲み代、競馬……家族旅行にも使いました。
定期的に10万円を受け取っていると、小づかいの枠が10万円分広がります。その生活が続くと、10万円分を圧縮するのは難しくなる。それでやめられなくなったのです。
私の頭の中では、『カネを受け取ったら、その額に相当するだけのものは返したい』という気持ちと、『いや、もらって知らん顔しておけばいいんだ』という、そんな二つの気持ちがずっと交錯していました。それが相手の作戦だったのかもしれません」

残された「あまりにも大きな謎」

こうして、内閣情報調査室の職員・水谷とロシアの諜報員たちの奇妙な蜜月は終わった。だ
が、この事件はまだ、最大の謎が残されている。

川崎で水谷が検挙される3日前、ベラノフが帰国した理由だ。

任期満了前の緊急帰国だったされる。
水谷はこう語る。

「私は、ベラノフが帰国することなどまったく聞いていませんでした。
考えられる理由は、ひとつしかありません。私と接触することが、日本の当局にバレている。そのことを、ベラノフ側が察知したということです。捜査情報が漏れたのです。
そのルートについては、私は誰からも聞いていません」

つまり、水谷は、警察内部から強制捜査の情報が漏れていたのだと見ているのだ。
実は、この捜査情報漏洩疑惑を巡っては、かねてから気になる情報が燻っていた。

警視庁公安部外事一課がロシアのスパイを摘発しようとすると、着手直前にスパイたちが緊急帰国してしまうケースが相次いでいたのだ。
ソトイチの捜査員の一人も、筆者にこんな疑念を語った。

「警察内部にも、ロシア側に捜査情報を流している人物がいるのではないか。それは現場からあげた、着手の決裁に目を通す立場にある人物の誰かかもしれない。
そうでなければ、極秘にしている強制捜査を事前に察知できるわけがない。『モグラ』は水谷だけじゃないんだ」

「モグラ」――。
つまり、組織の中に潜伏する敵対組織の協力者が、公安警察の現場から上層部までの意思決定プロセスのどこかに、食い込んでいるというのだ。

本気で国際諜報戦に挑むために必要なもの

これまで4回にわたって、内閣情報調査室を巡るロシアスパイ事件について書いてきた。
ロシアの諜報員が他国でスパイ活動を行うのは、公務員である彼らの任務だ。
もちろん、非合法活動ではあるのだが、情報機関を持っている国であれば、どこでも当たり前にやっている「常識」レベルの活動である。

もし、今回の事件が起きたのが米国や英国であれば、水谷を「二重スパイ」として利用することで、逆にロシアの諜報員を取り込む作戦がとられただろう。
だが日本で実際に起きたことといえば、捜査を事前に察知され、逃げ帰られてしまっただけ。
日本にとって有益な情報は、結局のところ何も得られていない。

今回の事件が、水谷という個人の脇の甘さが招いた事態であるのは疑いようもない。
だが、そこから浮かび上がってくるのは、世界各国が水面下で繰り広げている諜報戦の中で、ぽつりと取り残されたような日本のインテリジェンスの実態だ。

問題は国内に潜むスパイへの対策だけにとどまらない。
北朝鮮による拉致問題、イスラム過激派に拘束された日本人の奪還、中国で次々拘束された日本政府の協力者たち……。
解決する手立てが見つかっていない、こうした問題のひとつひとつが、日本のインテリジェンスの脆弱さを象徴している。

安倍政権は、これまでの政権と比較すれば、インテリジェンス強化に熱心だとされている。
だが、いま行われようとしていることを見ると、外務と警察を中心とする省庁間の駆け引きばかりが先行する状況で、急ごしらえの「日本版MI-6」を設置しようとしているようにしか見えない。

このままでは、プロ意識の欠如した「スパイごっこ」で無謀にも世界に挑み、再び水谷のように「赤子の手をひねる」ように籠絡される犠牲者を増やすだけではないのか。
もし、本気で先進各国並みのインテリジェンス体制を築く気があるのならば、まずは過去、ヤマのように積み重ねてきた失態を認め、検証し、教訓を得るところから始めるべきだろう。

「なぜ、日本は失敗してきたのか」というケーススタディーの蓄積。
それもまた、立派なインテリジェンス活動の出発点だ。

とかく組織の失敗を認めるのが苦手な日本の官僚組織が、世界を相手に戦える情報機関を作れるのか。
いまが、その大きな分水嶺の時期だということを、私たち国民も知っておくべきだろう。
竹内 明

[出典:公安に検挙された「官邸のスパイ」が告白する驚愕の疑惑(現代ビジネス)(Yahoo!ニュース > https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171224-00053947-gendaibiz-bus_all&p=1 ]

シャーリーズ・セロン主演の映画「アトミック・ブロンド」はベルリンの壁崩壊時のスパイの話でしたが、「誰が二重スパイなのか」で最後のどんでん返しまでハラハラドキドキで面白かったですが、実際日本にも二重スパイはいるんですかね?
そういう外国のスパイたちと日々対峙している公安関係の皆さん、本当にご苦労さまです。
そういう人たちのおかげで、私たちは平和に暮らしていけるんですね。

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