前回紹介した桜丘高校クイズカップルが高校生クイズでエリート開成に勝てた理由に続くインタビュー第2弾です。
中学時代に「学校に行くのが嫌になった」二人。
彼らが見つけた桜丘高校とは、どんな学校なのか?
二人のインタビュー記事を引用させていただきます。
不登校からの逆転“さわやかクイズ王カップル”を生んだ「桜丘高校」の秘密
不登校からの逆転“さわやかクイズ王カップル”を生んだ「桜丘高校」の秘密
三重県桜丘高校クイズカップルインタビュー#2 文春オンライン編集部 2017/10/02
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p>伝統の「高校生クイズ選手権」で “まさか”の初優勝を果たした三重県桜丘高校の高3男女ペア、木多祐太さんと中島彩(さやか)さん。
ふたりはなぜ“トップエリート”の灘高・開成高校を打ち破ることができたのか?その秘密は一風変わった学校の「校風」にあった――。
仲良しクイズカップルインタビュー、後編です!◆
――おふたりの補い合うコンビネーションが“奇跡の優勝”の理由だったことが前半のお話でよくわかりました。でも、「高校生クイズ」の番組内でもさんざんいじられてましたけど、本当に2人は付き合ってるんですか?
中島 そうですね(笑)。高校1年の7月にふたりで初めて高校生クイズに出て、9月の終わりくらいだったと思います、付き合い始めたのは。
――どっちから?
木多 いや、どっちからでもないですね(笑)。
中島 なんかこう、クイズを教えてくれる同級生は木多くんしかいなかったので、そこから仲良くなったという感じです。でもクイズしてるときは、ただのクイズ研究部員同士です。
木多 ただの(笑)。
――この流れの勢いで聞きますけど、お互いどこが好きなんですか?
中島 そうですね……、私はものすごい緊張するタイプなんです、何事においても。それで割と消極的なタイプなんですけど、木多くんは突き進んでいくタイプなんですよね。「いや、なんとかなるでしょ」「いけるいける」みたいなところが多くて(笑)。で、クイズでもそうなんですけど、実際、木多くんについて行ったらうまくいくことが多くて、だから好きというか、助けられてるという感じが強いのかな。
木多 僕はあんまり緊張感がないんですよね。
中島 そこがいいとこ。
――木多くんは、中島さんのどんなところが……。
木多 そうですね、なんか僕の突っ走っちゃうところを止めてくれるとこかな。あのままだったらやばかったな、みたいなこともあるので。宿題とかでも、明日やればいいでしょって思っていたら中島さんに怒られて。あれは助けられたなって思います。
中島 ああいうのはちょっとね(笑)。
学校に行くのが嫌になった2人が見つけた学校
――ところで、おふたりはどうして全寮制の桜丘高校に入ったんですか?
木多 ここは中学と高校が一緒にあるんですけど、僕は中3の時に関東から転校してきたんです。もともと朝が弱くて、前の中学でもめちゃめちゃ遅刻してたんですよ。しかもそこは姉も一緒に通っていた学校で、姉から「今日も遅刻してたよね」と怒られるのが嫌で嫌で。それで、なんか学校に行くの嫌だなあって思い始めて……。
――学校から足が遠のき始めちゃったんですね。
木多 その結果、内部推薦もらえなくなっちゃって。で、もう学校行くの完全に嫌になって、家にいたんですけど楽しくないんですよね(笑)。これは自分で環境どうにかして、面白くて悔いのない生活にしないと、って考え始めて、ここを見つけたんです。
――自分で学校を探したんですか?
木多 そうです。モータースポーツが好きなんですけど、鈴鹿サーキットがある辺りにいい学校ないかなあ、って探したんです。そしたら、いつでも編入を受け入れてくれる学校があった。
――すごいですね……。中島さんは、どうしてこの学校に?
中島 私も関東から転校してきて、中3の4月に編入しました。前の中学は受験で入ったんですけど、合格してみたら、なんか一山越えたような感覚があって、何となく疲れて「もういいや」って学校に行かなくなった時期があったんです。すると、何のために今の学校に行ってるんだろうとか、何で家にいるんだろう、みたいになっちゃって……。思春期ならではなんですかね(笑)。それであるとき母親と喧嘩になって「寮のある学校だったらいいんじゃない?」って言われたんですよ。で、「わかったよ、自分で探してやるよ」と思って、この学校を見つけました。
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p>うまくいっていなかった人たちが、割とここで自分を取り戻してる
――中島さんも自分で探したんですか。
中島 なかばやけくそみたいな気持ちでしたけどね(笑)。編入試験も軽くて済む学校だったので。先生に後から聞くと、不登校の子の受け入れもけっこうやっている学校なので、転入生については試験の成績よりも潜在能力みたいなものを見ているって言っていました。
木多 入る時にはそんなに学力いらないんですけど、高3になると偏差値が60超えみたいな人がけっこういるんですよ。公表されてる偏差値と、生徒の学力には差があると思います。とりあえず、普通じゃない能力を持ってる人が多い。
中島 私もそうですけど、前の環境に馴染めず、うまくいっていなかった人たちが、割とここで自分を取り戻してるんです。だから、環境と戦っちゃうような「とがった人」が自然と集まってる学校なんですけど、こういう人たちが集まると、意外といい組み合わせがあちこちで生まれたり、それまで抑えられていた能力が急に伸びるようになったりしてる。
木多 言っちゃ悪いけど、変な人も多いから面白い。前の学校だと、好きな地理の授業でも、自分の知っていることをどんどん話したいのを我慢しているところがあったんです。そういうので目立つと周りからあんまりいいふうに思われないから。でも、ここだと関係なく自分が出せるから楽です、気持ち的に。
――秘められた能力が開きやすい環境って面白いですね。クイズ研究部の後輩たちも一風変わってますか?
木多 一番強い子は「なんか学校に行く意味が見出せなくなった」という理由で編入してきたらしいです。本当に強くて、夏休みとかも帰省しないで他校のクイズ大会に参加してるような子なんですけどね。あと、顧問の須田先生も変わってますよ。市役所に6年間勤めてたのに、世界史を教えたいからって急に辞めて教師になったんですよね。
中島 安定した生活だったのに、変わってますよね、先生。
須田先生 まあねえ……。
自分が不登校だったから関わりたい仕事
――おふたりとも自分でこの学校を探して、道を切り開かれたわけですけど、将来はどんな方向に進もうと思っているんですか?
中島 私は大学で教育社会学を勉強したいです。それは自分が不登校だったことにも関係するんですけど、この学校で過ごしていると、世の中には飛び抜けているんだけど、環境のせいでうまくいかない子ってたくさんいるんだなって分かりました。それって、教育だけの問題じゃないと考えていたら、教育社会学にたどり着いたんです。大学を卒業したら、中高の教育現場に関わる仕事がしたいなって思っています。須田先生を見ていると大変そうだから、教師にはなりたくないけど(笑)。
木多 僕は車が好きなので、そっちのほうに進みたいです。メカニックなほうも好きなんですけど、むしろ僕的に今いちばん興味があるのが「次世代自動車社会」です。例えば燃料電池社会を実現するためには、どういうインフラが必要なのか、そういうことを制度設計したり、社会デザインする仕事に就きたいです。なので、大学では政策学を学びたいと思っています。
中島 大学に進んだら、私はバイトでお金貯めたりするつもりだけど、木多くんは……。
木多 しょっちゅう友だちと遊んでると思います(笑)。
中島 だから、生活リズムとかは一切合わなくなると思います。まあ、成り行きに任せるしかないですよね。私たちどうなるんだろうなあ、みたいな(笑)。
最後に、問題です
――最後にクイズいきます。
木多・中島 いきなり!
――1923年に出版社「文藝春秋」を設立した「真珠夫人」などの作品で知られる作家といえば誰?
木多 文学系は苦手だからダメだ。中島さんがんばって。
中島 あーっ、ええと……誰だっけ、思い出せない……。
――菊池寛でした。問題がマニアックすぎましたかね……。
中島 いえ、そんなことないんですけど、悔しいですね、これは。菊池寛を聞かれる問題だと「文学賞で知られる芥川賞・直木賞を創設し……」っていうのが問題の定型なので。
木多 中島さんは文学好きだし古典も得意なんですけど、現代文の試験は僕のほうができるんですよ(笑)。
中島 これ、ほんと癪なんですよねー(笑)。現代文の問題は、自分を殺して問題文として読まなきゃならないから、かえって難しいんです。選択肢の中に、私が思っている答えがないことって結構あるんですよ。
――特に小説問題はそうですよね。ちなみに中島さんはどんな作家が好きなんですか?
中島 そうですね、ええと……。
木多 (小声で)菊池寛、菊池寛。
中島 菊池寛です(笑)。
[出典:不登校からの逆転“さわやかクイズ王カップル”を生んだ「桜丘高校」の秘密 クイズです(文春オンライン > http://bunshun.jp/articles/-/4321 ]
二人とも中学時代に不登校を経験し、自分で見つけてやってきたということなんですね。
環境を変えれば力を出せる人は多いのではないかと思います。
日本人は「我慢が美徳」のような風潮が昔からありますが、これからは少しずつ変わっていければいいなと思います。
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