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発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が「不登校中退者専門進学塾」を作った理由

投稿日:2018年5月6日 更新日:

『暗闇でも走る 発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の進学塾をつくった理由』の著者である安田祐輔さんが、「不登校中退者専門進学塾」を作った理由を語っています。

「じつはうちの子、学校に行ってません」が普通の時代になってきた

だから不登校中退者専門進学塾を作った 2018.05.03

安田 祐輔

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現在、若者のひきこもりは約54万人。
小中学校の不登校児は13万人と増加傾向にあります。
基礎学力や稼げる技術を身につけないまま大人になれば、人生の選択肢が狭くなり、さらにひきこもりが長引けば、生活保護受給者となる現実も……。

そこに着目しビジネスを起こした『暗闇でも走る 発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の進学塾をつくった理由』の著者・安田祐輔さん。
日本初の大規模な、不登校・中退者・発達障害者など困難を抱える子どもや若者の進学塾「キズキ共育塾」を全国に5校展開。

なぜ、いまこの塾が多くの人に求められているのか? 
お話しを伺いました。

バブル前夜に生まれた私の悲劇

私は現在不登校・ひきこもりなどの若者を支援するための事業を行っている。
そして実は私自身も、子ども時代から大人になるまで、発達障害やうつ、ひきこもりなど、様々な障害やトラブルを経験した「社会問題の当事者」だ。
そんな私が「暗闇」でも走り続けることで、たくさんの偶然に出会い居場所を見つけるストーリーは、拙著『暗闇でも走る』に記した。

私は1983年(昭和58年)生まれ、山を切り拓き開発された横浜のニュータウンで育った。
おしゃれなニュータウンを舞台にしたドラマ全盛期のころだ。
時代はどこか浮かれていたが、私の不幸はそこから始まった。

父は有名大学出身、大企業勤務。
母は大学時代タレントをしていて、卒業後は女子アナになり結婚退職。

一見華やかな中流家庭。
私が生まれて間もなくバブル景気が始まり、4歳で平成を迎えた。

けれども、9歳でバブルがはじけ、不況がやってきた。
大人たちはリストラや就職難で苦労するようになった。
一方小学生だった私も「生きていくこと」に必死だった。

発達障害(過集中、感覚過敏など)の影響でドンくさかった私は、周りからいじめられていた。
家に帰れば、カッとなると手をつけられなくなる父のDVが待っていた。

やがて父は浮気相手との間に子どもをつくり、家に帰ってこなくなったが、そのせいで母は精神を病み、母まで家に帰ってこない日が続いた。
大人がいない家の静けさは、物心ついた時から大音量の夫婦喧嘩の中で育ったせいか、逆に不安を増幅させていった。

その後、地獄から逃げ出すように、中学は千葉の全寮制を選んだものの、ここでもいじめられ中退。
祖父母宅、父の再婚相手との同居など、住む場所・同居する人を転々と変え、一時は暴走族のパシリのような生活をしていた。
高校時代は継母からのいじめにも遭い、家に入れず公園で野宿する日もあった。

人生を変えるため偏差値30から猛勉強

もし普通の家庭だったら、もし普通の親だったらと考えると悲しかった。
しかし、高校2年生の秋、ふと考えた。
「生まれた環境のせいにし続けても、状況は何も変わらないのではないか?」

一念発起して大学受験(スタート時は偏差値30くらい)を決意。
5年間も机に向かって勉強をしていなかった私は、2年間の猛勉強を経てICU(国際基督教大学)に進学。
その後は、順調に人生を歩んでいるつもりだった……。

大学卒業後、就職した大企業を、まさかの4ヵ月で休職。
うつ病になってしまったのだ。

今になってみると、発達障害の影響が大きかったように思う。
その後、ひきこもりになり、布団から体を起こせない生活が1年以上も続いた。

最終的には、『暗闇でも走る』に詳しく記したように、どん底から編み出した独自の思考法で、自分の居場所を見つけたのだった。
我ながら、あらゆる社会問題を経験してきたと思う。

<私が「当事者」として経験してきた「社会問題」>
 ●発達障害:0歳~(1983年~)
 ●両親の不仲・父のDV:3歳~(1986年ごろ)
 ●ひとり親 14歳~(1997年~)
 ●いじめ・中退:~14歳(1997年ごろ)
 ●不登校:15~18歳(1998?2000年ごろ)
 ●うつ病:25歳(2009年/総合商社入社後発症)
 ●ひきこもり:25~27歳(2009~2010年)

学校に行けない子ども・若者の塾をつくる

平成の30年間は、私の人生とリンクしている。
平成はとても不透明な時代だった。

いい会社に入れば幸せになれるわけでもなければ、収入が高い伴侶を見つけたところで幸せになれるわけでもない。
どの高校に行けばいいのか、どの大学に行けばいいのか、どの会社に行けばいいのか……自分の手で人生を模索しなければいけない時代を、子ども・若者たちは不安の中で生きてきた。

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私は、現在そうした自分の「当事者としての経験」を活かしながら、まさにいま不登校や中退、ひきこもりといった問題を抱える子どもたちに寄り添うための進学塾(キズキ共育塾)を経営している。
学校やほかの塾ではうまくいかなかった1000人以上もの子どもたちがキズキで学び、卒業していった。
最近では、自治体と連携して「ひとり親世帯の子どもたちの家庭訪問支援」(足立区)や「引きこもりの若者の就労支援」(新宿区)を行ったり、専門学校や大学と連携して「発達障害などを抱えた若者たちの中退予防支援」など様々な支援にも携わっている。

不登校の生徒は小中高合わせて13万人を突破

この仕事をしているとよくわかるのだが、現代には自分がかつて経験したような苦しみを抱えた人たちが大勢いる。
例えば、うつ病の患者数は110万人を超え(111.6万人、2014年)、児童虐待の対応件数も12万件を超えた(12.3万件、2016年)。
不登校の生徒も小中高合わせて13万人を突破している(2016年)し、貧困率が高いと言われるひとり親世帯の数も100万に迫る勢いだ(91.2万世帯、2012年)。

これら「新しい社会問題」に関する統計の多くは平成の30年間をカバーしていない。
例えば、ひきこもりについてのデータは2010年からしかないので、平成の始まりに比べて増えているのか減っているのかをデータで把握することはできない。

しかし、いくつかの統計からこの時代に起きた明らかな変化の断片を見てとることもできる。
例えば、不登校生徒、ひとり親世帯、うつ病患者、 こうしたデータは、どれもこの平成20~~30年のうちにどのデータも顕著な増加を示しているのだ。

例えば、不登校の生徒が全体に占める割合は、90年代の半ばから2000年にかけて一気に上昇している。
その後は高止まり、2016年に再び最高値を更新している(1.35%)。
1991年と比較すると全体に占める割合は3倍近くにまで伸びているのだ。

また、家族のあり方も大きく変わっている。
18歳以下の働いていない子どもがいる世帯全体に占める「ひとり親世帯」の割合が、1988年から2012年にかけて2倍近くまで増えている。

特に2000年代に入ってからの伸びが顕著だ。
ちなみにこれは母子世帯、父子世帯の合計値だが、内訳としては母子世帯の方が圧倒的に多い。

全人口に占めるうつ病患者の割合も90年代から2000年代に入るタイミングで一気に上昇し、2014年には0.88%にまで伸びている。
総人口が減少する中で、うつ病を患う人はむしろ増えているのだ。

平成で膨らんだ見えない暗闇

いま、「平成」と呼ばれる時代が終わろうとしているが、この時代は私が子どもから大人になった時代であり、その過程で様々な困難に直面した時代だった。
自分がその苦しみの最中にいた頃はよくわかっていなかったが、このようにデータを振り返ってみてわかることは、この平成という時代が「自分と同じような苦しみを抱えた人たちがどんどん増えていく時代」だった、ということである。
自分が抱えていた様々な「暗闇」は、決して私一人のものであるだけでなく、同時にこの社会で見えないうちに進んでいた大きな変化の徴でもあったのではないだろうかだ。

この度、私が上梓した『暗闇でも走る』は、これらの社会問題の変化や、困難な中でも道を拓く方法を、34歳の私自身の経験を通して描いた。
私自身、子ども・若者をめぐるあらゆる社会問題の当事者だった。

そして、様々な社会問題を経験しながら、それを乗り越えられたのは、全て「偶然」だった。偶然合格できた大学、そこで出会った人たち、偶然あったビジネスコンテスト……。
そのどれかが欠けていても、私は暗闇から脱することができなかったと思う。

隣の人が「暗闇」を抱える時代

私が経験してきた様々な困難の多くは、当時は大きな社会問題として認識されていなかったが、今は徐々に「社会問題」としてニュースで報道されるようになった。
時代が変化し、当時の私と同じような経験をする子ども・若者は少しずつ増加していったのだ。

一方で、普通に生活しているだけでは、彼ら・彼女らの姿はなかなか見えてこない。
発展途上国のようにスラムで密集して生活しているわけではなく、どこにいるのか分からない。

電車の中でも、喫茶店の中でも、隣の席の人が「暗闇」を抱えているかもしれない、そういう時代に私たちは生きている。
「暗闇」は一人ひとりの内面に点在しており、しかも外からは見えづらいのだ。
加えて、社会問題の「元当事者」たちから、苦しかった当時の悲しみや苦しみが発信されることは少ない。

なぜ学校や会社に行けないのか?
なぜ非行に走ってしまうのか?

どうしてひきこもるのか?
何が苦しいのか?

それぞれの問題を当事者として経験したことがない人には理解しがたい行動や感情があるように思う。
『暗闇でも走る』は徹底してこの「当事者の視点」を大事にしながら書いた。
社会問題に直面しているこの連載記事や書籍を通じて、当事者の感情や直面しているハードルのリアル、私が自分の暗闇とどう向き合い、どう付き合ってきたか、を自分の経験をもとに少しでもお伝えできたらと思っている。

安田祐輔(やすだ・ゆうすけ)

1983年横浜生まれ。
不登校・中退・ひきこもり・うつ・発達障害・再受験など、もう一度勉強したい人のための個別指導塾「キズキ共育塾」などを経営するキズキグループ(株式会社キズキ/NPO法人キズキ)代表。
発達障害によるいじめ、一家離散、暴走族のパシリ生活などを経て、偏差値30からICU(国際基督教大学)教養学部国際関係学科入学。
卒業後、大手商社を経て2011年に「キズキ共育塾」開塾。
2018年5月現在、全国に5校(代々木・池袋・秋葉原・武蔵小杉・大阪)。
著書に『暗闇でも走る 発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の塾をつくった理由』(講談社)。

[出典:「じつはうちの子、学校に行ってません」が普通の時代になってきた「じつはうちの子、学校に行ってません」が普通の時代になってきた(安田 祐輔)現代ビジネス(講談社 > http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55494 ]

生まれた環境によって、その人の人生は大きく変わると思います。
貧乏な家庭であれば教育を受ける機会が制限され、地方の田舎に生まれても都会と比べて大きなハンディキャップがあります。
一方で、ネットの普及によって知らなかった情報を収集するチャンスも増えてきました。
たとえ障害があっても平等に生きられる社会になってほしいなと思います。

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