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子どものウソで「心のSOS」を見抜く

投稿日:2018年6月12日 更新日:

子どものウソには「心のSOS」が潜んでいると言います。

子どものウソに潜む「心のSOS」 4タイプでわかる本当の理由

島沢優子2018.6.10 07:00

子どものウソを頭ごなしに叱っていないだろうか?
確かにウソをつくことをいけないことだとしつけることは正論なのだが、実は子どものウソは心のSOSのサインでもある。

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たとえば、母親の財布からお金を盗む行動は「愛情を盗むのと同じ」と言われる。
「盗(と)ったでしょう?」と問い詰められても「僕じゃない」とウソをつく。

都内在住の会社員の女性(45)は、今は高校生になった長男が小学生のころ、姉の貯金箱からお金を盗んだことを思い出す。
姉の中学受験を前に、自分も夫も毎日必死だった。

「お姉ちゃんのお金、知らない?」と聞いたら、「知らない」と答える目が泳いでいる。
女性は「すぐに、ああ、盗っちゃったんだなと思ったけれど、責めたりはしなかった。
それからは私のほうが残業を減らして少し帰宅時間を早めたり、なるべく学校での話を聞くようにした」という。

このようにウソの陰に孤独感や嫉妬などなんらかの悩みのようなものが隠されている、図のAタイプと似ているのが、Bの「心配させたくない」タイプ。
こちらはウソの背後に、いじめや学業の遅れ、他者からのハラスメントが存在する場合もある。
親の振り返りや、子育ての修正だけでは解決できない深刻なケースだといえる。

『子どものウソ、大人の皮肉』の著書がある東京学芸大学国際教育センター教授の松井智子さんによると、「親や先生を心配させたくなくてウソをつく。自尊心が強い、もしくは心のやさしい子に多い」そうだ。

首都圏に住むパート主婦(55)は、長男が中学1年生の夏休み明けから不登校気味になった。
よく見ていると、部活動の練習がある日を選んで休んだり、体調不良を理由に早退してくる。

「どうしたの? 学校で何かあったの?」と尋ねても、「何もないよ」と首を振る。
「サッカー部が楽しくないんじゃないの?」と言うと「楽しいよ」。

思春期の男子中学生は、親から働きかけても言葉が少なくなかなか会話が成立しない。
そのうち、退部したいと親に訴えている子がいると知った。

部内で、上級生のいじめがあったのだ。練習中に暴言を吐かれた1年生もいた。
すぐに保護者同士で連携し、顧問の教員に相談。最終的に校長も入り、いじめ問題を解決できた。

問題が収束した夜、保護者会から戻って長男に「もっと早く相談してくれればよかったのに」と言ったら、「だって、心配するじゃん」と言われた。
子どもは心でウソをつくのだ。

A、Bタイプのように、ウソが心のシグナルをともしていそうなとき、私たち大人はどう対応すればよいのだろう。

一番の注意点として、松井さんは「表層に現れたこと(ウソの言葉や話)だけに心を奪われず、表情や行動など子どもの状況全体を見ること」と、「安心させること」の2点を挙げる。

ウソをついたことを責めるのではなく、理由を探すことに心を砕くことが重要だ。
そして、ウソをつく子は多くの場合、不安感が強い。
よって、「大丈夫だよ。ウソなんてつかなくていいよ」と肩を抱いたり、背中をなでたりしてほしい。

逆に、やってはいけないことは、ウソをついたことをきつく咎めたり、叱ったりすること。
一例として、塾をサボっているのに「行ってきた」とウソをつくのは、そこでの学習についていけないとか、講師と肌が合わない、もしくはそもそも塾に行きたくて行っているわけではない、ということもある。

「塾にちゃんと行きなさい、お金がもったいないと思わないの? と注意したいところだが、子どもが行き詰まったり、納得して塾通いをしていなかったりなどマイナス要因がある場合は、説得しようとしても耳には入らない。正論をぶつけて諭すのは、マイナス部分がなくなり子どもの心が元気になってからにしましょう」(松井さん)

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特別なケースはCだろう。
DVや児童虐待等の問題が横たわる家庭環境でサバイブしている子どもは、ウソをつくことで自分を守る。
親の虐待を隠すのは、明るみに出て親からひきはがされることを恐れているからだ。

「つらい家庭環境で生きている子は、貧困や虐待を直視せずにウソの世界に身を置くことで自分の精神を保っている部分がある。自分は子どもで、子どもは無力だということをわかっている。生き抜くために必要なウソです」

と松井さんは説明する。

最後のDタイプは、単にやりたくないことを回避している、つまり「表裏のないウソ」である。
東京都内の小学校で5年生の担任を務める男性教諭(40)は、そんな子どもを質問攻めにする。

「なんでウソついたの?」
「どんな気持ちだった?」
「ウソがばれたらどうしようって心配にならなかった?」
「宿題を心配しながら遊んでいても心から楽しめなくない?」

そんなふうに、子どもに対し「ウソつきの心情」を掘り下げていく。
「そうだよね。宿題を先にやっちゃったほうが、心おきなく遊べるよね」で終わる。

子どものウソは、子どもの心を映す鏡。
心に寄り添うことを意識したい。(ライター・島沢優子)

※AERA 6月11日号より抜粋

[出典:子どものウソに潜む「心のSOS」 4タイプでわかる本当の理由(AERA dot. > https://dot.asahi.com/aera/2018060700035.html?page=1 ]

思い当たることが多く、とても参考になります。
あらためて、子育ての難しさを感じました。

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