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「裏口入学のヤバイ実態」を医学部予備校の元経営者が明かす

投稿日:2018年7月22日 更新日:

医学部予備校の元経営者が、裏口入学の事をわかりやすく説明してくれています。

医学部予備校の元経営者が明かす「裏口入学のヤバイ実態」

そうか、そんな世界だったのか… 2018.07.20
原田 広幸

世間を驚かせた、東京医大の裏口入学問題。
医学部予備校の経営者だった原田広幸氏が、いまだに医学部で裏口入学が行われているその実態について告発する。

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実際にいた、ヤバい医大生

「先生、“モル”ってなんですか?」
これは、今から数年前、ある大学(A大学とする)の医学部の講義中に、学生から出た質問だ。
“モル”とは“物質量”のことで、高校で履修する「化学」の基本概念である。

医学部生は、推薦入学者も含めて、全員が「化学」を人並み以上に勉強しているはずで、“モル”を知らないはずはない。
ジョークで言ったのか、本気で言ったのか、どちらにしても、悪い冗談にしか聞こえない。
その後A大学では、「あの学生は、学内実力者B教授の子息だというじゃないか、やっぱりあの子は間違いなくコネ入学だ」という噂が自然と広まっていったという――。

東京医科大学で発覚した、「不正入学」問題。
文部科学省のエリート官僚が、私立大学支援事業の選定の見返りとして、子息を医学部に合格させてもらっていたという。
「『白い巨塔』の昭和時代でもあるまいし、官僚の口利きなんて、未だにまかり通っているのか!?」「そんなバカな」と訝しがった人も多いのではないだろうか。

今回の裏口入学は、非常に稀な、極めて特殊な事件に過ぎないのだろうか。
それとも、数多ある不正入学の「氷山の一角」なのだろうか。

「裏口入学はある」3つの理由

医学部の裏口入学は、いまだに存在するのか。
私の肌感覚から述べると、存在すると言わざるを得ない。
いや、正確を期して、また医師・医療従事者の名誉のため、「数は多くないが未だに存在する可能性がある」としておこう。

たしかに、今回の事件はやや特殊なケースではある。
というのは、今回の不正入学は、大学が便宜を依頼する立場で、合格者の親が便宜を図る立場になっており、何かの見返りとして子息を入学させてもらうという点では、ふつうの裏口入学と同類であるが、行政がからんでいるスケールの大きな事件だからだ。

しかし、不正な入試が行なわれたという事実には変わりなく、合格者の親などが合格の見返りに多額の寄付金を前払いする形での裏口入学は、未だいくつかの大学で行なわれている、というのが関係者の共通認識である。
さて、私が「裏口入学は未だに存在する」と判断する理由は、3つある。

1つには、医学部合格を請け負うブローカーのような人たちが、実際に存在するという事実だ。
医学部入試、とくに私立医学部入試に関係する予備校や指導者の間では、入試の前に、実際に口利きの依頼を受けたり、そういったことがされているという話を聞いたりするのは、よくある。
予備校での保護者との面談で、「先生のところでは、(口利きが可能なブローカーや内部関係者を)ご紹介いただけないのでしょうか?」と、露骨に相談してくる親もいる。

私自身、そのような人(ブローカーを自称する人)に会ったこともある。
ただし、こういう例は頻繁にはない。
いや、あまり多くはないが、冒頭に挙げた医学部の講義中に「先生、モル(mol)ってなんですか?」と質問する学生など、明らかに学力不足で入学してきた「毛並みの良い」入学生の存在は、「うわさ」の信ぴょう性を裏書きしているようにも見える。

2つ目の理由は、ゴボウ抜き合格者の存在である。
ゴボウ抜き合格者とは、たとえば模試などでの成績、得点が不良であったにもかかわらず、なぜか医学部入試の学科試験(それも、ある特定の大学の入試)で、多くの成績優秀者をゴボウ抜きにして合格してしまう受験生のことだ。

こういった受験生は、たまたまその大学の試験だけ合格点を取れたという可能性はないのか、と反論する人もあろう。
しかし、現在の医学部入試の競争率は異常なほど高く、入試難易度(偏差値)も非常に高い。

河合塾の実施する模擬試験での偏差値ランキングをみると、62.5より下位にある医学部(医学科)は1校も存在しない。
このような現状で、成績不良の受験生が、偶然にも、ある医学部だけで合格点を取るという可能性は、ほとんどゼロに近いだろう。

「面接」が裏口入学を可能にする

3つ目の理由は、ほとんどの医学部の入試で実施されている「面接試験」(1次の学科試験に対し、2次試験として行なわれることが多い)の存在、そして、その判定の不透明性である。
これが一番大きな問題だと私は考えている。

面接試験は、学科試験では検査することができない「医師としての適性」をみる、というのが建前である。
入試関連の面接試験対策でも、学校の教師は「医師になる動機と目的意識・将来ビジョンを語るべき」ことを教え、大学の入試担当者も、「倫理観があり、そのようなやる気がある受験生を合格させたい」と語る。

しかし実際には面接試験は、学科試験で1~2点差で競り合っている受験生の選別にあたって、「大学側の都合」にあわせた人材の振り分けに利用されているのが現実だ。
これは私立医大に限ったことではなく、国公立医大でも事情は同じである。

もちろん、「大学側の都合」というと悪く聞こえるが、「地元に残ってくれそうな人材」、「大学の付属病院に勤めてくれそうな人材」、「不人気の診療科志望の人材」等々を優先的に受け入れたい、という深刻な事情に鑑みて、面接試験の点数を加算することもあるだろう。
これはむしろ社会的にも望ましいかもしれない。

しかし「結婚して辞めてしまう可能性のある女性医師よりも男性医師を多く育てるため、同じ成績ならば女子を不合格にする」という大学も未だにあると聞く。
時代錯誤も甚だしい。

さらにそれが、「地元の有力者や権力者とのパイプ構築のため」、「多額の寄付を期待できるため」となると、どうだろうか。
かなりイヤらしく感じるが、「大学側の都合」から考えれば、大いにあり得る話なのである。

学科成績が優秀でも、年齢や経歴が理由で不合格にされてしまうことも、実際に多々ある。
医学部受験を指導する立場にあった私が一番悔しかったことは、性別、志望した年齢や家庭環境など、本人に責任がない理由で、教え子が不合格になったことであった。

いずれにせよ、最大の問題は入試のシステムそのものにある。
医学部入試の仕組みは、いくらでも不正が利くようなルールになっているのだ。
その入試のシステムが改善されない限り、どんなに当局が目を光らせ、どんなにマスコミが違反者を叩いても、不正入試、裏口入学はなくならないだろう。

医学部入試の仕組み

ここで、医学部入試の一般的な仕組みについて説明をしておきたい。
医学部入試に特徴的なのは、国公立・私立を問わず、ほぼ全ての大学で前述の面接試験が必須であるという点だ。

事前に、面接試験に使用するための「志望理由書」(就職試験におけるエントリーシートのようなもの)を書かされることも多い。
夏から秋にかけて実施される「AO入試」、「推薦入試」ではもちろんのこと、受験生は、1次試験としての学科試験(通常、英語・数学・理科2科目が課される)を突破すると、2次試験で、必ず面接試験を受けることになる。

学科試験は、私立大学の場合は1回である。
国公立大学の場合はセンター試験と、大学ごとの個別試験の計2回が課される。
その学科試験の成績優秀者に対して、面接試験の結果が加点されたり、場合によっては減点されたりする仕組みだ。

私立医大・私立医学部の入試では、センター試験のような共通試験は必須ではないため、多くの場合、1次の学科試験の発表のあと、学科試験通過者に対してのみ、面接が課される。(ただし、私立大学入試でもセンター試験を利用した枠もある)。
1次学科試験の通過は、絶対的な条件であり、ここで概ね入学定員の5~6倍の人数に絞られる。

1次学科試験の通過者に対して、成績順に番号をふってくれる医学部もある。
受験生は、こういった大学を「クリーン(裏口など不正がない)」な医学部として、好んで志望校に選ぶ傾向がある。

しかし、学科成績順に番号が振られていても、2次の面接点の付与方法が不明確なら、簡単にゴボウ抜きはできる。
1次通過者に番号を与える制度が「クリーン」であるというのは、イメージだけである。

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最近では、コンプライアンスや情報公開の原則が大学にも浸透し、入試の「成績開示」を行なう大学も増えてきた。
しかし、成績開示の方法には、大学ごとに大きな違いがある。
不合格者のみに成績開示する大学、「総合成績」(1次・2次の合算の成績)を開示する大学、合格最低点は開示しない大学等々、大学共通の開示ルールはなく、どこで得点操作が行なわれても、受験生にはわからない仕組みになっている。

やはり、本音・真実は、誰も語っていない。
いや、語れない、というのが真実なのである。

医学部予備校の元経営者が、指導から離れた中立的な立場で、真実に近い推定を語る。
おそらく、これが世に出せるギリギリの真実だ。

裏口入学をなくすには

では裏口入学をなくすにはどうすればよいか。
私は、ここで、2つの提言を行ないたい。
政府の審議会や、文科省の部会などでの発言でもない限り、影響力は皆無に等しいだろうが、こういった議論があることを多くの人に知ってもらうだけでも、筆者としては嬉しい。

1つ目。
医学部入試における面接試験は、少なくとも冬の一般入試においては原則廃止とするべきだ。
そして、学力だけの一本勝負、受験要件さえ満たせば、性別や経歴も年齢も関係なく無条件に合格させる仕組みにすべきである。

そもそも、受験生がどんな進路を選ぼうと、どんな学問を志そうと、国家や大学が、それを制限したり、排除したりするのは不当である。
そのような考えが正しいならば、試験はなるべく客観的で公平なシステムで行なわれるべきだ。
面接という、どうしても主観的な要素が入ってしまうシステムは、よほど選別基準がしっかりとしたものでなければ、公平な運用は難しい。

近年、「マルチプル・インタビュー・システム」といった、匿名性と客観性、公平性を備えた面接方法を導入するなどの試み(藤田保健衛生大学など)も、一部の医学部では行なわれている。
だから、全ての面接試験を廃止すべきという意見は、極論かもしれない。

しかし、面接試験廃止くらいに飛び抜けた改革努力がなければ、行政と大学への失墜した信用は取り戻せないだろう。
また、こうでもしないかぎり、遠からぬ将来、受験生の人気が凋落してきた時に、医学部の権威とブランドを維持するのは難しくなるだろう。

冬の一般入試以外で面接を残す場合でも、面接の際のみるべきポイントを、「倫理観」などの抽象的な理念ではない形で具体的に示し、面接試験の成績と順位、合格基準点と採点基準もあらかじめ開示する必要がある。
そして、医学部ごとに多様な入試形態を許し、自分に有利な大学を、事前に受験生が選択できるような情報公開を行なうことも必須となるだろう。
大学、文部科学省・厚生労働省は、「医学部入試は医師への就職試験でもある」ということを前提に、入試のあるべき姿を総合的に議論し、なるべく本音と建前の二重構造がないような制度設計をしてほしい。

共通のルールがまだない

2つ目。
私学助成のあり方の大幅な見直しをすることだ。

文部科学省は、共通ルールの策定ではなく、予算や私学助成金の配分によって、大学運営をコントロールしている。
今回の事件は、私学助成の一環として行なわれた、「平成29年度・私立大学研究ブランディング事業」の選定にからんで起こった。
行政の恣意的な予算配分を改めなければ、このような事件はなくならない。

こんなことよりも、入試の共通ルールの策定、これを急いで実行してもらいたい。
ルール不在により、受験のチャンスを奪われている生徒も実際にいるのである。

私が指導したある受験生は、ニュージーランドの高校を卒業したが、ニュージーランドやイングランドなどの、イギリス連邦(コモンウェルス)諸国の多くは、単位取得証明しか発行してくれない。
「卒業(Graduation)」の表記が、公式書類の中にないのである。
このことを理由に、私の生徒は、ある私立医学部から、受験そのものを拒否されたのだ。

私は、泣いて諦めかけている生徒に代わって、大学の入試課に掛け合ったが、医学部人気に沸く状況からか、強気な態度で一向に首を立てに振らない。
他の文系学部や大学入試センターは、卒業したものと判定してくれたにもかかわらず、である。

次に問い合わせた文科省の私学担当の窓口は、同情してくれたものの、「大学の裁量の範囲」として、大学側に指導をしてくれなかった。
結局、在京のニュージーランド大使館に行って大使に一筆書いてもらうことになり、その手間を経てやっと大学側が受験を許可、生徒は無事、合格となった。

この一件でもお分かりの通り、大学や行政との距離が近い人間が医学部合格をやすやすと手に入れ、苦労して海外の学校を出た若者が、受験機会すら与えられなかったかもしれないという、著しい不公平、非対称が、未だ手付かずのままになっている。
裏口入学、情実入試は、20年前には当然のように行われていた。

しかし、近年は、医学部人気の高騰と競争率の高止まりにより、成績不良の受験生を合格させ、裏口から入学させることは、事実上できなくなったとされていた。
しかし、今回の医学部不正入試事件で、そういった不正が未だ行なわれているという確固とした証拠がでてしまった。
そして、それとともに明らかになったのは、競争率と偏差値が高止まりした医学部人気にあぐらをかく大学側の驕りと、ルールではなく予算で大学をコントロールしようとする文部行政の歪みである。

最期に、このような歪んだシステムの最大の犠牲者は、学生であることを、再確認しておきたい。
ネット上で名指で非難されている容疑者の息子さんの将来も心配である。

不正入学の当事者の学生も、その他の学生も、本人の責任には帰せられない、大人の都合に振り回されている。
どうか、読者諸氏も彼らに心を寄せていただけるようにお願いしたい。

[出典:医学部予備校の元経営者が明かす「裏口入学のヤバイ実態」(原田 広幸)現代ビジネス(講談社 > http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56600 ]

いつの時代でも、どこの世界でも、権力者による便宜で利益を得る人は存在すると言えるでしょう。
これは人間である限りしかたないのでは、と私などは諦めております。

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