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自分の衝動を抑えられない人たちの共通点

投稿日:2018年5月8日 更新日:

福田淳一前財務事務次官のセクハラ発言、TOKIOの山口達也さんの強制わいせつなど、性衝動を抑えられない人たちの共通点を考えた記事です。

福田前次官、山口達也… 衝動を抑えられない男たちの共通点〈dot.〉

5/2(水) 7:00配信

異性に対する言動がさまざまな問題を引き起こしている。
カップルカウンセラーの西澤寿樹さんが夫婦やカップルの間に起きがちな問題を紐解く本連載、今回は「自分の性衝動を抑えられない人たちの共通点」をテーマに解説する。

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*  *  *
 
福田淳一前財務事務次官のセクハラ発言とされる音源が公開されて辞任につながり、今度はそれにまつわる発言で世間のひんしゅくを買った政治家が平謝りしたかと思えば、今度はTOKIOの山口達也さんが強制わいせつで書類送検された。
性にからまる不適切な言動が問題になっています。

福田氏は発言ですが、山口さんは現実の行動を起こしてしまったという違いはあるにしても、メンタリティ的には似ているものがあると思います。
つまるところ、自分の性衝動を抑えられなかった、ということです。

二人とも、自分の立場を理解はしていたと思われるので、「分かっちゃいるけど止められない」ということなのでしょう(だから、許されるということにはならないから社会問題になるのですが)。
性欲・性衝動というものはとても強いので、そういった問題が起こりやすい領域です。

家庭内でも似たようなことは起こります。
優華さん(仮名)は言います。

「私が嫌だといってるのに、夫が私の体に触ってくるんです。
触られると、身の毛がよだつっていうんでしょうか、ぞわ~っとして、鳥肌が立つんです。
今では1m位に近づかれるだけで手が届きそうで心臓がドキドキするんです」

夫は、それを夫婦のスキンシップだといいます。
しかし、優華さんは

「子どもがいるときに、子どもに見えないように触ってくるんです。
子どもの手前、怒ることもできず、そういうタイミングを狙ってやるのは卑怯極まりないと思います」

と憤ります。
たしかに第三者との関係だったら、痴漢として突き出されても仕方ないことですが、残念ながら現在の日本では「夫に痴漢された」と言っても、警察は取り合ってくれないでしょう。
それもまた優華さんの腹立たしいところです。

夫は

「子どもが生まれてからずっとセックスレスですけど、だからと言って他の人でとは思いませんし、妻が嫌がるのを無理強いしているわけではないんです。
でも、私だって性欲がないわけじゃないので、せめてタッチするぐらいは許してもらえないと。

これでは何のための夫婦かわからないですよ。
近づくだけで嫌な顔をされて」

と悲しそうに訴えます。
優華さんは

「夫の言うこともわからないわけではないですが……、なんかもう、そういう話を聞くだけで、嫌悪感というか、もうやめてーって感じになるんです。
でも、子どももいるし、少なくともそれ以外では、生活費はちゃんと入れてくれるし、悪い人ではないので今は離婚とかは考えていないですが……」

かみ合ってるような、かみ合っていないような2人のお話しですが、要するに、夫は優華さんと性的な部分でも仲良くしたくて、優華さんは(少なくとも今は)夫と性的な関係でありたくない、という希望です。

もう少しお話を聞いていくと、夫の中には、タッチができる→1回できることは複数回できる→日常的にタッチできるのは親密な関係→セックスする関係になる、という仮説があるように思えます。
確かに、出会った2人が親密になっていくプロセスではそうだと思います。
しかし、優華さん夫妻のケースでもその仮説が成り立つのか、というのは大きな問題です。

優華さんは、夫に近づいてこられるだけでドキドキする、と言ってましたが、ドキドキで思い出す有名な心理学の実験があります。
デートの理論などにもよく引用される、「つり橋の実験」です。

若い独身男性たちにちょっとした恐怖を感じるほど高いつり橋を渡ってもらい、橋の真ん中で若い女性が突然アンケートを求めて話しかけるというような設定の実験です。
つり橋の真ん中で足場が揺れることからくる軽い恐怖(=ドキドキ)を相手の女性に対する恋愛感情(ドキドキ)と誤認する、という仮説を示した実験です。
このことから、デートにはドキドキするところを入れるのがいいというのが「定説」になりました。

しかし、この研究には、後続研究があります。
「実験で声をかける女性が美人かどうかで結果は違うのではないか」というツッコミに基づく実験が行われた結果、美人ではない場合は逆効果だったとされています。

このことから分かることは、ドキドキは、もともとうっすらある感情を強める働きがある、と解釈するのが妥当だろうと思います。
ということは、優華さんは、ドキドキするたびに、夫への嫌悪感が強まるということが推測されます。
そういう実体験がある方も少なくないと思います。

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なので、夫は、優華さんがドキドキを感じないように、安心な状況を作る方が、状況を悪化させない可能性が高いのです。
ただ、それは悪化させないだけで、改善するわけでもないのでそういう時に人は、一発逆転を狙って「何か」をしたくなってしまうのです。

そう考えてみると、恋愛が得意な人は、相手を見て相手が警戒しないで済む間合いを取るのが上手なのに対し、苦手な人は、相手ではなくて自分のペースで話しを進めようとしたり、一気に距離を縮めようとしてうまくいかなくなる傾向があるように思います。
そんなのは恋愛のマニュアル本に書いてあるようなことですが、分かっていてもなかなか実行するのが難しいことです。

問題はその「わかってはいるけど」というところです。
福田氏も山口さんも優華さんの夫も理性では分かっているので、それ以上理性で何かを考えても状況がそんなに変わるとは思えません。
衝動というのは、その瞬間に理性を超えてしまうのものですから、冷静な時に理性で考えた通りに、衝動が高まった時にもできるとは考えられないのです。

水原希子さんが「モデルは物じゃない」と声をあげられましたが、残念ながら、現在の日本では人を物のように扱う場面が多いように思います。
福田氏も山口さんも相手を物扱いしているというのは分かると思います。
物として扱うことと、人として扱うことの大きな違いは、その対象に共感的に関わっているか、です。

共感的な関係を築いていると、相手が嫌なことをされたときの痛みが頭ではなくて感覚的にわかるようになりますから、心理的に相手が嫌なことをしにくくなります。
衝動性をネガティブな方向に持っていかない有力な方法が共感だと私は考えています(共感については以前の記事に書きましたが、相手の感じ方を自分の中でシミュレーションして再現している実体験のことで、理解や同意とは異なります)。
気づかずに相手を傷つけてしまった場合も共感がある場合と、ない場合ではその後の対応が違ってきます。

優華さん夫婦もその一例ですが、夫婦カウンセリングをしていると、気持ち(共感)が先かセックスが先か、という平行線の主張にぶつかることがあります。
セックスが先という感覚はどこか相手を物扱いしています。
つまり優華さんの夫も優華さんを物扱いしているということです。

少なくとも、優華さんの夫には優華さんと再び仲良くなりたいのであれば、(あまり分かっていない)共感を学ぶ必要があります。
それができれば、もともと性的にも仲良くしたい気持ちもあって結婚した相手なのですから、優華さんの気持ちが変わっていく可能性は十分にあるのです。

一方、山口さんの場合は、記者会見で「未成年からしたら大人の男性は怖かったんだろうなあ」と共感ともとれることを言っています。
ただ、本当に共感しているのか、本当に相手の人を物扱いしていないのかどうかは、内面のことなので本人以外分かりません。

自分が非難されている状況で、あのような言動が危機管理上「正解」とされているからという場合も少なくないのです。
危機管理とは自分の危機の管理なので、相手に共感するということとある意味対極にあることです。

マスコミに取り上げられた事件は、他の大きな事件が起きれば、いつの間にか忘れ去られてそれで済んでしまうことも少なくないですが、夫婦の場合はそういう自然消滅は、当事者が期待するほどおこらないし、「追及」は気持ちを準備して臨める記者会見だけではないので、本当のことを見透かされてしまうことが多いのです。
マスコミ対策的危機管理が、夫婦の危機においても正解とは限らないのです。(文/西澤寿樹)

[出典:福田前次官、山口達也… 衝動を抑えられない男たちの共通点〈dot.〉(AERA.dot)(Yahoo!ニュース > https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180427-00000088-sasahi-life ]

古くから、力の強い男性が力の弱い女性を物として扱ってきた歴史がありました。
逆に、立場的に強い女性が男性にパワハラすることもありますが…。
強い者こそ、弱い者を守らなければならないはずなのですが、強さを履き違えている人が多いですね。

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