フリーライターの西谷さんが中国人ツアーガイドに密着したルポが面白いので紹介します。
30代中国人ツアーガイドのヤバすぎるモラル
観光客に対する洗脳やウソは日常茶飯事
西谷 格 フリーライター 2018年05月13日
Sponsered Link
p>中国人と日本人の衛生感覚のちがいについて明らかにした「中国の寿司屋で働いて見えたヤバすぎる実態」(4月29日配信)に続き、『ルポ 中国「潜入バイト」日記』著者の西谷格(にしたに ただす)が、今回は中国人観光客向けツアーガイドの現場に潜入。
中国人ツアーガイドと一緒に働いて見えた「爆買い」や「中国人観光客向けツアーガイド」の実態について紹介します。2009年から2015年まで、私は中国・上海市で生活していた。
2016年に6年ぶりに帰ってきた久しぶりの日本は、少し景色が違って見えた。とにかく街中に中国人があふれていた。
特に目立っていたのが、観光客の集団だ。中国人観光客のツアーガイドになってみた
中国人観光客を”彼らの側”から見たらどう見えるのか。
中国人の内面や日本の観光地とのかかわり方を知れば、少し見方も変わるかもしれない。ツアーガイドとして彼らを引率し、密着してみてはどうだろう。
そう考えた私はとりあえずネットで「中国人観光客 ガイド なるには」などのキーワードで検索し、ツアーガイドを目指すことにした。ツアーガイドになるには、まずは「旅程管理主任者」の資格が必要であることが判明し、専門学校で3日間の講習を受けることになった。
講習を終えたあとの2016年夏、チャンスは突然やってきた。LINEにメッセージが届いたので見ると、専門学校の座学で仲良くなった張さんという同年代の男性からだった。
「西谷さん、ガイドの仕事できますか?商品の販売もできますか?一度打ち合わせしましょう」5日間の東京観光ツアーがあり、その初日と最終日だけガイドが必要だという。
仕事があったら紹介してほしいとお願いしていたので、連絡をくれたのだ。
打ち合わせを終えると、まずは張さんに見習いとして1日同行することになった。中国人ツアーガイドの洗脳術
ツアーの途中、都内の家電量販店に立ち寄った。
張さんは喫煙所に入ってフーッと紫煙を吐くと、こんなことを言い始めた。「この仕事はとにかく、客をいかに洗脳するかなんですヨ」
洗脳、という言葉に驚いたが、言わんとすることは理解できた。「たとえばこの磁気ネックレス、中国のガイドはみんなこれ使っているんですよ。
1本3万円ぐらいですが、ガイドなら1万円ちょっとで買える。
で、お客さんが1本買うと9000円バックがもらえる。
『私も使っていてすごく効きますよー』と言えば、みんな買っちゃうんですよ」そう言って、ニヤリとしながらシャツの襟の間から銀色の金属の輪をつまんで見せた。
張さんの知り合いの中には、この磁気ネックレスの販売に特化したガイドを行い、一財産築いた者もいるという。
確かに、20人が買えば1日で20万円近いバックが入るのだから、儲けは大きい。「とにかく、こちらの言っていることを信じさせる。これが大事なんです」
だが、最近は旅行者も賢くなっていて、免税店は割高であることに気づき始めているという。「今日のツアー客のなかにも、一人いたんですよ。
日本に何度も来たことがあって、免税店は高いから行きたくないっていう人が。
しかも、それをほかのお客さんにまで教えようとするんですよ。
そういうの困っちゃいますよー」免税店で買ってもらわないことには、張さんの儲けにならない。
「だから言っておいたんですよ。
『前にお客さん同士で余計なアドバイスして、大ゲンカになったことがある』って。
『あの店は高いとか安いとか、ほかの人に余計なこと言うのはやめましょう』ってね」旅先でのトラブルを避けたいという心理を逆手に取り、言葉巧みに客同士の連携を断つのである。
うまいものだ。
時間にルーズな中国人観光客への対処法も教えてくれた。「『遅れたらタクシーで来てください。日本のタクシーは高いので、1回遅れたら2万円ぐらいかかりますよー』って言うんです。
みんなおカネ払うのは嫌だから、こう言っておけばまず遅れない。遅れた人がいても、絶対に待っちゃダメなんです。
1回でも待つと、みんな『じゃあ次は私も遅れて来よう』って考えるから」さすが、中国人の思考回路を知り尽くしている。
ある程度シビアに対応しないと、どんどんつけ込まれてしまうのだ。
Sponsered Link
p>女性や子どもにだって容赦しない強欲さ
ホテルに到着すると、フロント前で中国人観光客から張さんに向かって矢継ぎ早に質問が飛んだ。
翌日からは自由行動でガイドが付かないから、聞けるうちにいろいろ聞いておきたいのだろう。「この近くに食事できるところはある?」
「ホテルの玄関を出て、右か左に行けばありますよ」都内なんだから、そりゃ右か左に行けば何かあるだろう。
「タラバガニを食べたいのだが、どこに行ったら食えるのか?」
「銀座に行けばありますよ」
「いくらぐらい?」「800元ぐらいですよ」
「800円??日本円で800円か?」
「違いますよ。人民元で800元。日本円だと1万2000円ぐらい」
「それで大きさはどのぐらい??1キロぐらいあるのか?」
「そんなにない。500グラムぐらいですよ」聞くほうも答えるほうも、テキトーすぎる。
続いて、小学1年生ぐらいの男の子を連れた母親が、観光スポットへの行き方を尋ねてきた。「ディズニーランドにはどうやっていったらいいのかしら?」
「電車だと面倒だから、車で行ったほうがいいですよ。送迎は運転手付きで1万円ぐらい。でも、2人だとちょっと割りが合わないですね」母親はうーん、とつぶやいて、眉間にシワを寄せた。
数分後、今度はiPhoneの画面を張さんに見せて、「この行き方で合ってる?」と聞いてきた。画面には、乗り換え案内アプリの画面が表示されている。
日本にいる知り合いにでも頼んで、スクリーンショットで画面を送ってもらったのだろう。乗り換えが3回と確かに少々面倒で、スクリーンショットは2枚に分かれていた。
1枚目の画面を見た張さんは、確信のこもった口調でこう言った。「不対!(ブドゥイ!)」
ノー、間違っているという意味だ。
いや、そんなはずはないのだが、張さんは何か勘違いしているのだろうか。困った顔をしてポツンとたたずんでいる母親が気の毒に思い、私はもう一度彼女のもとへ近づき、「その行き方で合ってますよ」と教えてあげた。
なんなら明日、一緒に案内してあげたら喜ぶだろうなと一瞬思ったが、それはさすがに面倒なのでやめた。どうして「不対」と答えたのかと不思議に思い、外の喫煙所でたばこをくわえていた張さんに話しかけると、予想もしない答えが返ってきた。
「わざわざ教えてあげなくてもいいんですよ。
電車使ってもこっち何も得しないですから。うまーく誘導させないといけないんです。
カーシェアで車出せる友達がいるので、その人に頼めばウチの儲けになるでしょ」わざと「不対」と答えたのは、そういうわけだったのか。
しかもカーシェアで友達が運転するということは、完全に白タク行為。
もう何でもアリらしい。張さんによると、こうした爆買いツアーは飛行機とホテル代込みでわずか4000元(約6万円)程度で発売されるとのこと。
ホテルは4泊分だから、請け負った時点では完全に赤字。
それを免税店で爆買いさせることによって、どうにか帳尻を合わせているのだという。「リスクあるから、日本の会社はやらないんですよ」
中国人の爆買いツアーは、中間層の海外旅行ブームによる過当競争が生んだ時代のあだ花ということか。
最近では、割高な免税店を嫌う旅行客が増え、ツアー自体が大幅に減少しているという。「また違うこと考えなきゃ。
これからは医療ツーリズムに力を入れようと思っています」清濁併せのみながら、同胞相手にしたたかにカネを稼ぐ張さんを見ていると、日本の観光業界がちょっとふがいなく思えてしまった。
[出典:30代中国人ツアーガイドのヤバすぎるモラル(東洋経済オンライン > https://toyokeizai.net/articles/-/219721 ]
さすがに、中国人と聞けばこのくらい当たり前かなと思ってしまいます。
日本人の常識は世界に通用しないという事ですよね。
Sponsered Link
p>