林修 初耳「スキャンダル日本史 脱獄…そして壮絶愛 江戸後期の天才医師 高野長英」
2018年11月11日(日)放送「林先生が驚く初耳学!」より
世を忍ぶ壮絶な愛
スキャンダル日本史 第30弾。
今回のテーマは、世を忍ぶ壮絶な愛。
2018年も様々な愛の形が世間を騒がせましたが、世間が認めなければ認めないほど、愛が燃え上がるのは今も昔も同じこと。
その愛を貫くあまり、悲劇に襲われた偉人の実話です。
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医者・蘭学者の高野長英
その偉人の名は、医者で蘭学者の高野長英。
高野長英に蘭学を教えたのは、ドイツ人医師・シーボルト。
シーボルトにも愛憎劇がありました。
長崎・出島で回診中に出会った美女タキと恋に落ち結婚。
二人の子どもを授かったものの、シーボルトはスパイ容疑をかけられて国外追放。
遠い異国で一途にタキを思い続けるシーボルト。
しかし、30年の月日を経て日本に戻ると、タキはその間に2度も再婚していました。
「私の愛したタキはもういない」
そのシーボルトに師事していた高野長英もまた、同じ壮絶な愛の道を辿ることになるのです。
時は1838年(天保9年)
シーボルトのもとで蘭学を学んだ後、江戸で町医者を開業していた長英。
長年学問に没頭していましたが、35歳の時、芸者だった8歳年下の「ゆき」と結婚。
そして……
「あなた」
「どうした?」
「お腹に赤ちゃんが」
「おお、それはめでたい!」
しかし、そんな幸せは長くは続きません。
長英に辛い運命が待ち受けていたのです。
事件が起こったのは、1839年5月(天保10年)
結婚してわずか1年のこと。
当時江戸幕府は、外国との交流を制限。
近づく外国船には砲撃まで加えていました。
危機感を抱いた長英は、幕府の対外政策を批判。
「戊戌(ぼじゅつ)夢物語」という本にまとめます。
しかし、幕府への批判的な書物を書いたとして、長英は牢屋へ。
最愛の妻と離れ離れになってしまったのです。
これが、「蛮社(ばんしゃ)の獄(ごく)」(1839年)と言われる蘭学者への弾圧事件。
長英は最も重い判決「無期懲役」でした。
しかし、ここからがスキャンダル!
長英はとんでもない行動に出るのです。
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獄中生活5年目の1844年(弘化元年)
牢屋が火事に。
実は、この火事を計画した犯人はなんと長英。
当時、牢屋が火事になると緊急措置として、囚人は一時釈放され、3日以内には戻ってくる掟。
長英はその制度を利用して、脱獄を図ったのです。
妻への愛を貫く長英は脱獄後、さらにとんでもない行動に出ますが、それは一体何でしょうか?
脱獄後のとんでもない行動とは?
一時釈放後、3日以内に戻ってくれば、刑をワンランク下げてくれる決まりでした。
その代わり、戻ってこなければ死罪。
そんな中、長英は戻ってきませんでした。
一旦は埼玉あたりで匿われていて、もう一度江戸に戻ってきます。
その時、硝酸のようなもので自分の顔を火傷でわからなくします。
顔を変えた長英は、沢三伯(さわ・さんぱく)と名前も別名を名乗り、江戸で医院を開業。
優秀な長英の書は評判を集めましたが、文体や表現によって、沢三伯は高野長英の偽名だと気づかれてしまい、47歳で壮絶な死を遂げたのです。
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